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地方財政・租税論

担当教官

碓井 光明

科目番号

11080

学期

曜日・時限

火曜3限

単位

科目概要

地方財政、地方税の政策的課題を法的仕組みの側面から明らかにし、どのように制度設計すべきかを探求する。 地方財政は、国民にとって国家財政と同様に、あるいはそれ以上に重要なものである。しかも、それは、けっして国家財政から分離ないし孤立して存在するものではなく、国家財政と密接な関係を有している。地方財政に関する三位一体の改革が叫ばれているのも、このような国家財政と地方財政との関係に由来するものである。

本講義は、まず、地方財政の全体構造を把握し、それがどのように組み立てられているかを理解する。その際には、国と地方との関係(地方に対する歳出の義務づけ、国と地方との費用負担関係の規律等)について着目する。次いで、地方税、分担金、使用料・手数料、地方交付税、国庫支出金、地方債といった歳入の主要なものについて法的構造を検討する。その際には、それらの歳入の相互の連関について注意する(たとえば、地方債の元利償還についての交付税措置、地方債の発行と普通税の税率との関係、地方交付税の基準財政収入額の算定と地方税の税率との関係など)。地方税に関して、税源移譲が政策課題となっているが、その点は、担当者の能力の範囲外であるので扱わない。ただし、地方公共団体の自主的な税収確保策である法定外税、超過課税(標準税率を超える税率の採用)等については、詳しく考察を加えたい。

地方財政を論ずるには、歳出に対する法規制を考察しなければならないが、国と共通のことは除外して、地方に固有の事項のみを取りあげる。

今日、地方公用団体は、財政運営に関係する様々な政策課題を抱えている。その中には、業務の民間委託、経営の悪化している地方公社や第三セクターの問題、地域経済の活性化などである。これらを法的にいかに規律すべきかをも検討したい。

進め方:それぞれのテーマについて、担当教員が簡単な概略を講義しておき、あらかじめなるべく具体的な課題を設定して、全員がそれを考えるのに必要な共通の文献を読んでおいたうえ、報告担当者の作成するレジメに基づいて討論する。

前提履修科目

不可欠のことではないが、以下の科目を履修(同時併行の履修を含む)されることを期待する。

「公法の基層と現代的課題」、「政策決定・行政統制論」、「財政法」、「自治体行政学」、「地方自治法」、「政府間関係論」、「財政政策」

成績評価

授業時間中の討論・報告50%、レポート50%。ただし、参加者がおおむね20名を超えるときは、レポートに代えて筆記試験を実施することがある。

テキスト

碓井光明『要説 自治体財政・財務法[改訂版]』(学陽書房)、碓井光明『要説 地方税のしくみと法』(学陽書房)。
六法全書:『自治六法』(ぎょうせい)、又は『地方自治小六法』(学陽書房)又は『六法全書』(有斐閣)。

参考文献

全体を通ずる参考文献の目録は開講時に配布する。また、各講義日に必要な文献は、その都度指示する。

講義日程

変更があり得る。

10月5日;地方財政の概要
10月12日;地方交付税制度
10月19日;国庫支出金の構造
10月26日;地方債
11月 2日;地方税の総論的考察(標準税率、超過課税・不均一課税)
11月 9日;住民税
11月16日;固定資産税
11月30日;事業税
12月 7日;法定外税
12月14日;業務の民間委託
12月21日;企業誘致対策補助金・用地提供
  1月11日;地方公社・第三セクター
  1月18日;予算制度
  1月25日;監査制度

その他