事例研究(環境・技術政策2)
担当教員
配当学期・曜日・時限
夏学期 火曜 5限 (〜20:20)
内容・進め方・主要文献等
科学技術をめぐる公共政策と通常の公共政策にはどういった違いがあるのだろうか。不確実なデータをもとに、政策スタッフは意思決定者にどのような分析と報告をしなければいけないのだろうか。高度の専門性を必要とする科学技術政策に一般の市民はどう関与すればよいのだろうか。先端科学における不確実性を、政策決定ではどう扱わなければいけないのか。科学技術専門家の社会的責任とはいったいどういう意味なのであろうか。果たして、政策分析に価値観を取り込むことは許されるのであろうか。本授業では、このような疑問を、主に環境・エネルギー政策分野における現実の事例研究を通して考えていく。
授業の序盤では、環境・エネルギー技術政策に関わる最新の報告書や文献を学ぶ。中盤には、具体的な政策課題に関わる内外の専門家(欧・米・アジアから専門家が客員講師として講義する予定)から最新の政策課題について学ぶ。後半には、今年のテーマとして「グローバルな気候変動とエネルギー問題」をとりあげ、学生は世界の各地域を代表するチームに分かれて米、欧州、日本、ロシア、中国、インド等各国の環境・エネルギー政策の課題をケース・スタディとして取り組む。ケース・スタディを行うに際しては、政府、企業、NGO等様々な関係者に準備の上インタビューを行い、様々な関係者の課題認知を構造化する試みを行う。授業においても、関係する実務家との討議の機会を設定する。その上で、政策決定者を念頭に、具体的な政策提言をまとめることとする。最後には、政策提言のプレゼンテーションを通じて、クラス全員で自由な討論を行うとともに、環境・エネルギー技術に関わる横断的課題の政策分析の方法・プロセスについて考察する。参加者は、最終的には、全員で分担して行う「エネルギー環境問題」に関する課題についてまとめる、レポートを提出することが求められる。
教材等
追って指示する。
講義予定
第1回 4 月 10 日
・全体説明 技術とは、政策研究と論文の違い、エネルギーと環境
・グループ分け 米・ EU ・日本・中国・インド・ロシア
第2回 4 月 17 日
・ IPCC 2007/2/5
IPCC WG1 第 4 次報告 ”Executive Summary for policymakers”
http://ipcc-wg1.ucar.edu/wg1/docs/WG1AR4_SPM_Approved_05Feb.pdf
・ Stern Review(UK) 2006/10/30
“Executive Summary”
http://www.hm-treasury.gov.uk/media/8AC/F7/Executive_Summary.pdf
“Full Report”
http://www.hm-treasury.gov.uk/independent_reviews/stern_review_economics_climate_change/stern_review_report.cfm
第 3 回 4 月 24 日
・ EU 2007/1/10
欧州委員会 "Energy for a Changing World"
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/site/en/com/2007/com2007_0001en01.pdf
・ EU 2007/1/10
欧州委員会 “Limiting Global Climate Change to 2°”
http://ec.europa.eu/environment/climat/pdf/future_action/com_2007_2_en.pdf
第 4 回 5 月 1 日
・ Russia 2006/12/15
ERINA 伊藤 庄一 “The Pacific Pipeline at a Crossroads: Dream Project or Pipe
Dream?”
・ China 2007/3/1
ERINA 伊藤 庄一 “China's Surging Energy Demand: Trigger for Conflict with
Japan or the Emergence of an Energy-Environment Regime in the Asia-Pacific?”
第5回 5 月 8 日
・ US 2007
MIT ”Future of Coal”
http://web.mit.edu/coal/The_Future_of_Coal_Summary_Report.pdf
・ US 2007/1
EIA “Energy Market and Economic Impacts of a Proposal to Reduce Greenhouse
Gas Intensity with a Cap and Trade System”
http://tonto.eia.doe.gov/FTPROOT/service/sroiaf(2007)01.pdf
第 6 回 5 月 15 日 ・ゲスト@ エネルギー研究所(予定)
地球温暖化対策 エネルギー政策
第 7 回 5 月 22 日
・ゲストA Michael Rogers 氏
EU のエネルギー・温暖化政策
第 8 回 5 月 29 日
・ゲストA Michael Rogers 氏
EU の政策決定における Scenario の利用
第 9 回 6 月 5 日
・ゲストB 環境省(予定)
温暖化対策 排出権取引制度
第 10 回 6 月 12 日
・ゲストC Philip J. Vergragt 氏、湊氏
米国における温暖化対策 技術導入プロセス
第 11 回 6 月 19 日
・ゲストD 経済産業省(予定)
原子力国際展開
第 12 回 6 月 26 日
・風力発電立地交渉シミュレーション
第 13 回 7 月 3 日
・ゲストE T S Gopi Rethinaraj 氏 (シンガポール国立大学)
インドのエネルギー政策
TERI ” India 's National Energy Plan”
http://bookstore.teriin.org/docs/books/PSA%20Report-Summary.pdf
第 14 回 7 月 10 日
・ゲストE T S Gopi Rethinaraj 氏 (シンガポール国立大学)
中国のエネルギー政策
第 15 回 7 月 17 日
・報告会
成績評価の方法
平常点及びレポート等による。