事例研究(政策プロセスマネジメント)

担当教員

城山 英明加藤 浩徳松浦 正浩

配当学期・曜日・時限

夏学期 水曜 2限

内容・進め方・主要文献等

 一般に、政策プロセスは、課題設定、選択肢の創出、政策決定、政策実施、政策評価の諸段階から構成される。このうち,本事例研究では、課題設定という上流段階に注目することとしたい。これは、この上流段階の政策プロセスをいかにマネジメントするかが、政策決定及び政策実施段階における合意形成の可能性に大きなインパクトを与えると考えられるからである。課題設定の段階においては、同じ対象であってもその提示のされ方によって人々の反応が異なることがフレーミング効果と呼ばれている。また、複雑な状況の下で何を中心的な問題として位置づけるかという点でもフレーミングが重要である。論争に関わる関係主体は、複数の見方が同時に共存できるような曖昧な状況を利用して、自分に有利な形で解釈を一つの方向に持っていこうとする。さらに、現実の政策過程においては、課題のフレーミングのあり方が適切でないために、様々な形での再フレーミング(reframing)が行われる。
 本事例研究では、まず、政策プロセスにおける課題設定に関わる2つの手法について紹介する。第1の手法は問題構造化手法である。これは、特定の主体(個人または組織)によって認識されている問題構造をインタビューによって把握することにより、各主体のフレームを明示化する手法である。多様な主体の問題構造認識に関する情報を活用することによって、公共政策における課題抽出の支援を行ったり、問題構造認識の違いを各主体が相互に理解することを通じて、社会的合意形成の支援を行ったりすることを狙いとしている。第2の手法は、ステークホルダー分析である。これは、特定の政策課題についてステークホルダー間の合意形成の可能性を探るために実施する事前評価である。一定の手法に基づいてステークホルダーを抽出し、その関心事項をインタビュー等で把握した上で、何らかの生産的な合意へと達する見込みがあるのかを評価し、市民参加やパブリック・インボルブメントなどを議論の場を設ける場合、誰に参加してもらうべきか、どのようなテーマに関してどのような手順で議論すべきかを提示する。
 その上で、参加者は、グループに分かれ、現実の素材に関して、問題構造化分析やステークホルダー分析を設計し、実施する。具体的には、交通・まちづくりに関する事例、地域医療に関する事例、環境問題に関する事例等を予定している。なお、参加者が現場に入るに先立って、様々な事例について、現場の当事者の話をうかがい、公共政策に関する課題設定の多面性を理解する機会も設ける予定である。

教材等

追って指示する。

成績評価の方法

平常点、レポート等による。

関連項目