事例研究(行政とIT制度変革の視点)

担当教員

奥村 裕一城山 英明

単位数・配当学期・曜日・時限

4単位 夏学期 火曜5限 火曜6限

内容・進め方・主要文献等

21世紀のネットワーク社会の中で、行政におけるICTの活用は不可欠であり、政府は年間6千億円(米国は790億ドル)を投じている。本事例研究では、行政内部業務と行政サービスの質的変化の視点から、人や予算と並んでICTを行政運営上の重要な投入資源のひとつとして捉え、ICTを活用した新しい行政のあり方や課題について、ICTの利用者の立場に立脚しつつ行政学的視点と実践的行政活動の視点から検討する。

具体的には、以下について内外の動向や事例を学びながら考察する。

(1)ICTの活用による行政内部業務や行政サービスの変容の可能性
(2)変容をはばむ行政制度・慣行・文化の特定と克服策
(3)21世紀の新しい行政の将来像

行政とITのかかわりの実態把握に当たっては行政担当官や民間関係者等との意見交換の場を設ける。また、参加者は日本や海外のITを利用した行政(自治体を含む)の実情と課題について調査し、報告することが求められる。さらに、米国など先進国で始まっているオープンガバメントについて、参加型ウェブサイトの実験的な試みを授業の中で行い、国民の意見集約の可能性と課題を考究する。

授業計画

以下は暫定版。変更がありうる。
(概論)
1 イントロダクション(情報ネットワークと行政・社会、情報の持つ機能)
2 日本と世界の電子政府 経緯と現状
3 行政のウェブサイトによる情報発信、手続きの電子化
(内部業務遂行とICT)
4 ITが契機となる内部業務改革 リエンジニアリング革命と行政の内部業務改革
5 行政組織を超えた行政サービスの協業の可能性 省庁間、中央対地方間、対NGO・国民
(ネットワーク社会における行政展開)
6 オープンガバメント オバマ政権 日本政府 その他
7 積極的情報公開とICTの利用(情報プラットフォームの形成と情報分析)
8 集団の意思の集約と政策への国民参加
9 参加型ウェブサイトによる意見集約の実験的試み
10 オープンガバメントの成立可能性と民主主義にとっての意義

教材等

奥村裕一、城山英明共著「第六章行政における業務改革とIT」『科学技術のポリティクス』東京大学出版会(2008)
ハマー&チャンピー『リエンジニアリング革命』日本経済新聞社(2002)
ファウンテン著、奥村裕一訳『仮想国家の建設』一藝社(2005)
ジェームズ・スロウィッキー著、小高 尚子訳『「みんなの意見」は案外正しい』角川書店 (2006年)
週刊『エコノミスト』2010年2月23日号「オバマが進めるオープンガバメント」
朝日新聞グローブ2009年11月23日「オバマ政権のオープンガバメント」
日本政府: 「電子政府の推進について」
世界の電子政府: 「ナレッジベース」
米国政府:「オバマ政権の取り組み」 電子政府政策一般、オープンガバメント
参考: 行政と情報通信技術(PAdIT)研究DB

もしパソコンをお持ちの方は、持参してください。ただし義務ではありませんので、お持ちでない方は勿論結構です。

成績評価の方法

平常点、レポート等による。

関連項目