事例研究(政策プロセスにおける評価とマネジメント)

担当教員

松浦 正浩 / 加藤 浩徳 / 城山 英明

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

政策プロセスは、課題設定、選択肢の創出、政策決定、政策実施、政策評価の諸段階から構成される。このうち,本事例研究では、主として課題設定のための評価(アセスメント)とその利用という上流段階に注目する。まず、政策プロセスにおける課題設定に関わる手法(問題構造化手法、ステークホルダー分析手法等)について紹介する。その上で、参加者は、グループに分かれ、現実の素材(環境、交通、科学技術政策)に関して分析を行う。

授業のキーワード

政策プロセス,問題構造化,ステークホルダー分析,課題設定

policy process, problem structuring, stakeholder analysis, agenda setting

授業計画

(予定)

第1回 イントロダクション (4/7)
第2-3回 事例紹介 (4/14, 4/21) (※所属班決定)
第4回 ステークホルダー分析 (5/12)
第5回 問題構造化手法 (5/19)
第6-7回 各班のグループワーク (5/26, 6/2)
第8回 各班からの中間報告その1 (6/9)
第9-11回 各班のグループワーク (6/16-6/30)
第12回 各班からの中間報告2 (7/7)
第13回 最終報告会 (9月上旬)

授業の方法

本事例研究では、政策プロセスの上流段階である課題設定について実践的検討を行う。上流段階に注目するのは、この上流段階の政策プロセスをいかにマネジメントするかが、政策決定及び政策実施段階における合意形成の可能性に大きなインパクトを与えると考えられるからである。課題設定の段階においては、同じ対象であってもその提示のされ方によって人々の反応が異なることがフレーミング効果と呼ばれている。また、複雑な状況の下で何を中心的な問題として位置づけるかという点でもフレーミングが重要である。論争に関わる関係主体は、複数の見方が同時に共存できるような曖昧な状況を利用して、自分に有利な形で解釈を一つの方向に持っていこうとする。さらに、現実の政策過程においては、課題のフレーミングのあり方が適切でないために、様々な形での再フレーミング(reframing)が行われる。
本事例研究で紹介する第1の手法は問題構造化手法である。これは、特定の主体(個人または組織)によって認識されている問題構造をインタビューによって把握することにより、各主体のフレームを明示化する手法である。多様な主体の問題構造認識に関する情報を活用することによって、公共政策における課題抽出の支援を行ったり、問題構造認識の違いを各主体が相互に理解することを通じて、社会的合意形成の支援を行ったりすることを狙いとしている。第2の手法は、ステークホルダー分析である。これは、特定の政策課題についてステークホルダー間の合意形成の可能性を探るために実施する事前評価である。一定の手法に基づいてステークホルダーを抽出し、その関心事項をインタビュー等で把握した上で、何らかの生産的な合意へと達する見込みがあるのかを評価し、市民参加やパブリック・インボルブメントなどを議論の場を設ける場合、誰に参加してもらうべきか、どのようなテーマに関してどのような手順で議論すべきかを提示する。
このような方法論について概観したうえで、参加者は、グループに分かれ、現実の素材に関して、問題構造化分析やステークホルダー分析を設計し、実施する。具体的には、環境政策、交通政策などに関する事例を予定しているが、現場の受け入れ状況により、変更の可能性もある。なお、参加者が現場に入るに先立って、様々な事例について、現場の当事者の話をうかがい、公共政策に関する課題設定の多面性を理解する機会も設ける予定である。

成績評価方法

平常点、プレゼンテーション、レポートによる。

教科書

なし。

参考書

なし。

履修上の注意

授業時間外における現地調査の時間が多く必要になる。

関連項目

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