<お知らせ>グローバルエキスパート特別講座第四回「デジタル技術による民主主義の実質化」の映像が公開されました。
プログラムの狙いと特徴
イノベーションを社会実装するためのガバナンスの設計を実践的に検討する。
「ガバナンス」の要素を学ぶ
イノベーションが正当な信頼を得て社会に受容される迄に直面する様々な障害を乗り越え、イノベーションによる正のインパクトを最大化、リスクを最小化するため、
①根本的価値(プライバシー、安全性、公平性、多様性、持続可能性など)の議論と、
②これらの価値とイノベーションを両立させるための「ガバナンス」の諸論点(ルール・技術・組織の設計、アカウンタビリティ確保、紛争解決など)
について、関連分野(法律・経営・哲学・システム工学・リスクマネジメントなど)における 世界の第一線の専門家から、最新動向を踏まえた講義を受ける。
「現実のプロジェクト」の「ガバナンス」を具体的に設計してみる
課題に直面している現実の事例を取り上げ、受講者自身がガバナンスの仕組みを具体化する。受講生が自ら問題意識を持つプロジェクトを持ち込むことも可能。
「多様」な受講生がそれぞれ考える「全体最適」を提示し、刺激し合う
多様な産業、官公庁、専門分野で勤務する受講者同士が、それぞれの持ち場から全体最適を指向し議論することにより、持続性のある形でイノベーションの実装や組織改革を実現するための考え方を身に付けることを目指す。
プログラムコーディネーター・運営責任者
・宗像直子 東京大学公共政策大学院教授
・羽深宏樹 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課ガバナンス戦略国際調整官・弁護士(日本・NY州)・東京大学公共政策大学院非常勤講師
今学期の受講生
・社会人24名(旭化成、Aflac、Amazon Japan、Salesforce.com、第一生命、DeNA、TMI総合法律事務所、デロイトトーマツ、電通、PwC、富士フィルム、森・濱田松本法律事務所、楽天)
・大学院生7名(公共政策大学院及び工学系大学院等。留学生含む。)
プログラム詳細
本プログラムは、以下の2つのコースから構成される。
A:グローバルエキスパート特別講座 | |||
概要 | 世界の第一線で活躍する講師を招いて行う特別講義。
講義は英語で実施し、同時通訳を付す。 |
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時間 | 1回2時間 5回 計10時間 | ||
回 |
日時 |
テーマ |
招聘講師(敬称略) |
0 |
9/4 10:00-12:00 |
オリエンテーション
‐コース全体の狙いと構成、扱うテーマ等について担当教員から説明する ‐参加者が自己紹介し、交流を深める |
なし |
1 |
9/11 13:00-15:00 |
AIのAIによるガバナンス
‐AIによる複雑・高速かつ大量の処理を適切に管理するためには、ガバナンス自体にもAI技術を活用することが欠かせない ‐ここではAIを用いたAIリスクの管理や評価の在り方を議論する |
Daniel Seng: シンガポール大学准教授、Center for Technology, Robotics, AI and the Law (TRAIL) 所長
大柴行人:Robust Intelligence社共同創業者 |
2 |
1/22 10:00-12:00 |
新たな規則のアプローチ
‐デジタル技術によって複雑化する社会に対し、規制モデルはどのような変革を迎えるべきか ‐ここでは官民共同による規制のアプローチについて議論する |
Orly Lobel:Professor, University of San Diego
Jolyon Ford:Professor, Australia National University |
3 |
2/5 10:00-12:00 |
デジタル市場における競争政策
‐デジタル技術は、国境を越えた巨大市場と人類史上類を見ない規模のデジタルプラットフォームの出現をもたらした。グローバルで一極集中化が進む市場を、どのように管理していくべきか ‐ここではデジタル時代の市場ガバナンスについて議論する |
Daniel Francis:Climenko Fellow and Lecturer on Law, Harvard University, Furman Fellow at New York University School of Law
古谷一之:公正取引委員会委員長 |
4 |
2/23 10:30-12:30 |
デジタル技術による民主主義の実質化
‐社会全体でデジタル技術を実装するためには、既存の公共サービスをデジタルで提供するだけでなく、合意形成や政策決定にデジタル技術を最大限活用し、民主主義を実質化することが課題となる ‐ここでは日本の公共サービスを真に民主化(国民が求めるサービスが提供されるように)するための示唆を得る 公開映像はこちらからご確認ください。 |
Audrey Tang :Digital Minister of Taiwan
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B:「イノベーションガバナンス」講義 | |
概要 |
2020年度秋学期開講の「Digital Governance: How to Redesign Technology, Law and Market」を発展させた新設講義。受講者同士のグループワークやピアレビューを取り入れた実践的な内容。 |
時間 |
毎週土曜14:55-16:40 |
回・日程 |
テーマ・招聘講師(敬称略) |
第1回 10/2 |
なぜイノベーションガバナンスが必要か? |
第2回 10/9 |
グループワーク対象事例の紹介
長井大典:デジタルアーキテクチャ・デザインセンター 自律移動ロボットプログラム サービスロボットプロジェクト リーダー 神谷渉三:株式会社I’mbesideyou CEO 森下将宏:キビタス株式会社 CEO & Co-Founder |
第3回 10/16
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ガバナンスのゴールの設定とリスクの分析
大屋雄裕:慶應義塾大学法学部教授「Society 5.0の自由と幸福」 松原豊:名古屋大学情報科学研究科准教授「複雑システムにおけるリスク管理とガバナンス 〜モビリティ・サービスを例に考える〜」 |
第4回 10/23 |
イノベーションに適した (innovation-friendlyな)組織の設計 石山洸:株式会社エクサウィザーズCEO 「AIによる社会課題解決の民主化/企業向けDX」 |
第5回 10/30 |
ワークショップ 1 – グループプロジェクトの目標設定 |
第6回 11/6 |
政府と企業の関係の変化 (1) 企業の役割(ルールの受け手から作り手へ)
妹尾堅一郎:NPO法人産学連携推進機構理事長「イノベーション、生かすも殺すも制度次第」 渡部友一郎:弁護士・Airbnb Japan法務統括責任者「企業からのルール形成」 |
第7回 11/20 |
政府と企業の関係の変化 (2) 政府の役割(ルール形成から目標設定へ)
松田洋平:デジタル庁参事官「デジタル臨時行政調査会における論点」 増島雅和:弁護士・森濱田松本法律事務所「新しい事業を創る人たちのためのコンプライアンス 〜事業創造によるルールの共創〜」 |
第8回11/27 |
政府と企業の関係の変化 (3-1) 官民の関係(共同規制等)
馬田隆明:東京大学・FoundXディレクター「スタートアップから見たルールメイキングの意義」 石井芳明:経済産業省新規事業創造推進室長「規制改革と新事業創出について」 |
第9回 12/4 |
政府と企業の関係の変化 (3-2) 官民の関係(制裁制度改革、標準等)
藤代尚武:日本知財標準事務所 知財標準化事業部長「社会規範としての標準(規格)の活用について」 稲谷龍彦:京都大学法学政治学研究科教授「企業制裁における官民協力」 |
第10回 12/11 |
ワークショップ 2 – 各プロジェクトのガバナンスデザイン
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第11回 12/18 |
消費者・住民・利用者の視点
水野祐:弁護士・シティライツ法律事務所「法のデザイン」 川地真史:デザイン研究者・一般社団法人 公共とデザイン「公共とデザイン」 |
第12回 1/15 |
最終発表とフィードバック① |
第13回 1/22 |
最終発表とフィードバック② |
グループワークの対象プロジェクト一覧
1.自動配送ロボット(デジタルアーキテクチャデザインセンター)
2.表情・音声解析によるコミュニケーションの質の向上(I’mbesideyou) 3.オンライン紛争解決(キビタス) 4.製品安全に関するプラットフォームの責任(受講生有志) 5.AIを用いた医療機器(受講生有志) |
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