東京大学 公共政策大学院・協定大学院 院長メッセージ
日・中・韓の3ヵ国で学び、学位を取るという試みは、これまでどの大学でもほとんど行われてこなかったことではないでしょうか。異文化の中に実際に身を置き、研究と生活を通して、現地の人と話をする中で、机上の学問だけではわからない人々の暮らしや歴史を学べるところに、CAMPUS Asia プログラムの最も大きな意義があると考えています。とくにこの3カ国はいま、世界の経済・政治において存在感を高めつつありますので、これらの国々を深く体験し、将来につながる人間関係を形成することが非常に重要です。私たちは国籍と学問のバックグラウンドが異なる学生たちの交流が互いに高い成果を生み出すように、北京大学、ソウル大学校としっかり連携してプログラムを構築していきたいと思います。またこれを機に公共政策大学院では、3つの大学での履修やダブル・ディグリーでの単位認定を体系的に行うことを可能にした「公共政策キャンパスアジアコース」がスタートしたため、従来から強化してきた大学院全体の国際化がさらに進展すると確信しています。
グローバリゼーションと情報革命により、我々は新たな世界に進もうとしています。中国、日本そして韓国の若い世代は東アジアの平和的かつ持続可能な発展に向け大きな責任を担う必要があります。CAMPUS Asiaプログラムは、3ヵ国の若い世代がお互いに学び合い、共通の歴史についての理解をより深め、直面する課題への解決法を摸索し、豊かな未来を目指し努力するための基盤となります。
未だ実務上の困難は存在するものの、我々は、北京大学、ソウル大学、東京大学の3大学間の連携により、当プログラムが大学院生の交流において最も有益かつ建設的なメカニズムの一つとなり、学生の知識を深め、視野を広げることにつながると確信しています。国際情勢の分野における主要教育機関として、北京大学国際関係学院は当プログラムに参加し推進できることを光栄に思います。
若い世代は、それぞれの国の未来を象徴する存在です。当プログラムに参加する学生たちが3ヵ国の友好関係を構築し維持するため全力を尽くし、東アジアおよび世界における平和と繁栄に向け協力し合っていくことを心から期待します。
今日のグローバル化した世界において国家間の相互関連性は増大し、選択肢や機会も広がっています。しかし同時に、一つの国や組織だけではなく地域全体や複数の組織に関わる大きな課題も発生するようになりました。こうした状況により、まさに世界および地域全体の問題に対する共通の理解と責任、それに基づくグローバルな思考や戦略が必要とされています。このような観点から、東アジアの主要な教育機関が協力し合い、地域的かつ国際的なさまざまな問題に対処する学際知識と異文化体験を有し、世界的視野を持つ次世代リーダーを育成するプログラムを設立しました。ソウル大学校・北京大学・東京大学の3校は、CAMPUS Asia プログラムを通し次世代アジアのリーダーの育成を目指しています。
CAMPUS Asiaは人と人とをつなぐプログラムです。3校の学生や教員の学術・文化両面での交流は、現在の地域的・国際的問題に対し国境を越えたより包括的な視点を育むことでしょう。
加えて、CAMPUS Asiaは理論と実践とを結びつけるプログラムでもあります。3校が合同で、国際関係学および公共政策学の分野において、理論モデルと実社会における技術知見とを融合させたユニークなカリキュラムを提供します。このプログラムを通じ学生は第一線の知識を学ぶだけでなく分析技術を向上させることができ、その結果、将来の困難な課題への対処法を効果的に学ぶことができるのです。
さらに、当プログラムは東アジアにおける高等教育の総合的向上に寄与するものであり、最終的には特に東アジア研究の分野において世界レベルの学術・研究プログラムを確立するものです。
最後に、当プログラムは東アジアにおける地域協力と発展とに向けた新たな道を開き、真の「コミュニティ」としてのより緊密な関係が実現されることとなるでしょう。