行政組織法

担当教員

交告 尚史

配当学期・曜日・時限

夏学期 月曜 4限

内容・進め方・主要文献等

まず、行政法学において2つの機関概念が語られていることを説明する。すなわち行政処分や行政作用法といった概念と結びつく行政官庁理論と、事務の能率的遂行を目的とする国家行政組織法等の機関概念である。そのうえで、内閣法、内閣府設置法および国家行政組織法を中心とする行政組織法の骨格を学ぶ。したがって、国の行政組織の説明が中心になるが、地方行政の組織についても、地方自治法を参照しながら、適宜解説を加えるつもりである。続いて、行政組織の担い手である公務員に目を向け、とくにその勤務関係をめぐる一般的問題と公務員の権利・義務について学習する。

行政組織法、公務員法いずれについても、最近の制度改革の動きに注意したい。講義は教科書に沿って行うが、受講者においては、すぐれて現代的な課題に関心をもち、それについてレポートをまとめてもらう。

受講者は、行政法学全般の基礎知識を身につけるようにされたい。学習の材料については、個別に相談に応じる。

教材等

塩野宏『行政法 III』[第3版](4月下旬刊行予定)を教科書とする。

講義日程

第1回(4月10日)  講義計画の説明
第2回(4月17日)  講義:2つの機関概念
 行政官庁法理と事務配分的機関概念
第3回(4月24日)  討論:2つの機関概念の歴史的背景
   稲葉馨『行政組織の法理論』第2部序章と第1章  
第4回(5月1日)  講義:内閣
 内閣法、内閣府設置法および中央省庁等改革基本法を読む 
第5回(5月8日)   討論:行政委員会を考える1―行政委員会の歴史―
   芦部信喜・小嶋和司・田口精一『憲法の基礎知識』 [有斐閣]
   和田英夫『行政委員会と行政争訟制度』[弘文堂]第1編 I 「行政委員会論」 
第6回(5月15日)  討論:行政委員会を考える2
                ―公害等調整委員会の歴史・仕組・権限―
   ジュリスト1233号(2002年)特集2「公害等調整委員会30年」
第7回(5月22日)  講義:国家行政組織法の仕組み
 国家行政組織法を読む
第8回(5月29日)  討論:環境省の組織を調べる
   環境庁について、今村都南雄『組織と行政』[東京大学出版会]第3部第2章2
   中央省庁改革、最近の環境省設置法改正
第9回(6月5日)   講義:特別行政主体
 独立行政法人、政府関係特殊法人、認可法人・指定法人、公共組合など
第10回(6月12日) 講義:委任行政
 委任行政の現代的課題を探る。PFI法の概略
第11回(6月19日) 討論:PFI法をもう少し深く
 PFI事業の実例を調べよう
第12回(6月26日) 講義:公務員法序説
 勤務関係総説、公務員の権利・義務を少し
第13回(7月3日)  講義:公務員法 続き
 公務員の権利・義務の残り
第14回(7月10日) 討論:派遣の制度を知る
 選択肢A・・・公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律 
     商工組合事件判決・最判平成10年4月24日判時1640号115頁
       ジュリスト平成10年度重要判例解説
       大隈義和、判例評論479(判時1655)号218頁
 選択肢B・・・国と民間企業との間の人事交流に関する法律

成績評価の方法

レポートと平常点で評価する。

関連項目