グローバライゼイションと法

担当教員

石黒 一憲

配当学期・曜日・時限

冬学期 水曜 3限

内容・進め方・主要文献等

インターネット全盛の現在、そのインターネットのそもそもの初めにあったアメリカの国家戦略から説き起こし、更に、19世紀末以来の過去と現在、そして未来の情報通信の在り方を、法と政治、経済、更に技術の総合において問うのが、本講義であり、それとの関係で、知的財産権問題についても、「なぜ独占なのか?」というそもそもの初めから、サイバースペース上の知的財産権侵害の問題や「標準化と知的財産権」等の問題まで、広く扱う。WTOやOECDの基本的方向性への疑念、更には内外での「規制緩和・規制改革・構造改革」への原論的批判も、その視座からなされる。とくに、「新古典派経済学の現実世界への不当なスピルオーヴァー現象」については、根源的な問題を提起する。技術革新を直視せずに、何故テレコムを論じ得るのか。価格にのみ反応する、それが前提する人間像の問題性。現実から遊離するコスト計算。常にと言ってよいほど市場画定を曖昧にしたままで始まるその「市場競争」論、等々である。他方、本講義では、「技術の視点」が重視される。ADSLの限界、FTTHや第3世代携帯電話の国際標準化と日本の技術力、ディジタル化でも日本に後れをとるアメリカの焦りとNTTを巡る日米摩擦、等も、この視点から扱われる。J.F.ケネディが世界平和と人類の相互理解を訴えて設立された国際衛星通信組織INTELSATが、レーガン政権以降のアメリカの市場万能論(歪んだそれ)の中で、如何にして崩壊したのか、等々の「歴史の教訓」から、我々は、一体何をくみ取る「べき」なのか。−−詳細な「講義概要」は、事前に掲示し、第1回目に配布する。なお、最新の動向等については、資料を随時配布する。 

教材等

石黒・電子社会の法と経済(岩波・2003年)、同・法と経済(岩波・1998年)を教科書とするが、詳細は事前に掲示する。

成績評価の方法

筆記試験による。

関連項目