金融法

担当教員

岩原 紳作

配当学期・曜日・時限

夏学期 水曜 2限

内容・進め方・主要文献等

金融に関する法制を、金融の実態に即して主に規制法の側面から理解し、実務家・規制当局・研究者いずれの立場からも、金融をめぐる法的問題に実際に対処できる能力を身につけることを目的とする。本講義においては、金融の取引法的側面も踏まえながら、金融に関する様々な問題等に規制法がいかに対処しているかを主として取り上げる。資料・判例・事例等を収めた教材を使用し、質疑応答を行いながら授業を進める。

教材等

資料・判例・事例等を収めた教材を作成し、使用する。参考文献は、教材の中や授業の際に紹介する。

授業の構成

第1回 金融及び金融制度の歴史と法制
  通貨の発生、銀行の始まり、日本における銀行・金融システム・金融法制の発展等の金融に関する歴史を概観し、なぜ金融に関し特別の規制が必要とされるかを検討する。

第2回 金融機関の業務(1)
金融機関の業務内容を概観し、業務範囲に関する規制の根拠につき検討する。

第3回 金融機関の業務(2)
  金融機関の排他的業務・その他の固有業務・付随業務・法定他業等、具体的な金融機関の業務に関する法的問題を取り上げる。

第4回 関連会社とその業務
  金融機関の子会社とその業務に関する規制、銀行持株会社に関する規制、金融機関の主要株主に関する規制、金融機関の株式保有規制、代理店等を取り上げる。

第5回 預金取引
  金融機関の排他的業務である預金取引につき、私法的問題を踏まえつつ、規制法の側面から検討を加える。具体的には、規制法の側面から見た預金の定義と預金の受入に関する業法的規制、預金に関するディスクロージャー規制、預金保険その他の預金者保護法制等を取り上げる。

第6回 為替取引
  金融機関のもう一つの排他的業務とされる為替取引につき、その実態と電子化による変化を概観するとともに、私法的問題を踏まえつつ、規制法的問題につき検討を加える。具体的には、為替取引の定義、当座勘定取引、手形交換、振込、振替、電子決済、電子マネー、システミック・リスク対策等を取り上げる。

第7回 与信取引
  金融機関の固有業務である与信取引につき、私法的問題を踏まえつつ、規制法的問題につき検討を加える。具体的には、与信取引に関する金利規制やコミットメント・フィー等に関する規制、消費者信用の問題等を取り上げる。

第8回 その他の業務
  保証業務、デリバティブ取引、信託業務、証券業務、社債管理業務、保険販売業務、等を取り上げる。それに伴うネッティング、金融商品販売法の説明義務、適合性原則、利益相反規制等、私法・公法両面にわたる法制が検討される。

第9回 金融機関の営業に関する規制
  総論、開業規制、店舗規制、合併・営業譲渡規制等、先に検討した業務範囲以外の金融機関の営業に関する諸規制につき検討する。

第10回 金融機関の財務に関する規制
  経理に関する規制、金融機関のディスクロージャー、自己資本比率規制、早期是正措置、大口信用供与規制等を取り上げる。

第11回 金融機関の検査・監督、外国銀行支店への規制
  金融機関に対する検査と監督につき学ぶ。金融検査マニュアル、評定制度、監督上の各種措置等を取り上げる。また外国銀行支店への規制にも触れたい。

第12回 金融機関破綻に関する法制
  預金保険法、金融再生法、金融機関更正特例法等の金融機関が破綻した場合に関する諸制度につき学ぶ。

第13回 中央銀行制度
  中央銀行制度の歴史と国際比較、通貨・決済・考査・最後の貸手機能・金融調節国際業務・国庫金・国債業務等の中央銀行の役割、等につき検討する。

成績評価の方法

筆記試験を行う。平常点は考慮するが、レポートは課さない。

関連項目