ヨーロッパ統合と法

担当教員

伊藤 洋一

配当学期・曜日・時限

夏学期 水曜 4限

内容・進め方・主要文献等

ヨーロッパ統合の大きな特色は,「法による統合」であることである.その結果,ヨーロッパ各国では,国内法の「ヨーロッパ法化」が近年顕著な現象となっており,ヨーロッパ法の影響を無視して加盟国の国内法を研究することは,次第に困難となってきている.

しかし,ヨーロッパ法の形成は,決してヨーロッパレヴェルの裁判所側から一方的になされてきたのではなく,加盟国の国内裁判所との間の相互的影響のもとに形成されてきたものであって,現実には,国内裁判所の帰趨こそヨーロッパ法の実効性の鍵であることを忘れてはならない.

使用する文献は,EC裁判所・ヨーロッパ人権裁判所と国内裁判所との相互関係を主題とした研究集会の記録である.同文献を手がかりとして,ヨーロッパレヴェルの国際裁判所と国内裁判所との相互影響関係を具体的に検討することにより,ヨーロッパ法に対する理解を深めることを目的とする.

具体的には,フランス語文献を講読,それに基づき討論するという形式で進める予定である.

本演習は,ヨーロッパ法の本格的研究に不可欠なフランス語文献の読解力の養成をも目的としているので,参加には,フランス語を読む能力および意欲を持つことが必要である.

なお,使用する文献は,その性質上,読者が既にヨーロッパ法に関する基本的知識を持っていることを前提として書かれている.ヨーロッパ法総論の聴講経験の無い者は,ヨーロッパ法総論の概説書等を一読しておくこと.

教材等

Le dialogue entre les juges européens et nationaux, Bruxelles, Bruylant, 2004 (初回に必要部分のコピーを配付予定)

成績評価の方法

平常点による

関連項目