リスクマネジメントと公共政策

担当教員

金本 良嗣林 良造石田 功齊藤 誠足立 尚人

配当学期・曜日・時限

冬学期 水曜 18:40〜20:20

内容・進め方・主要文献等

大規模災害リスクや環境リスク、株主代表訴訟など、企業活動を取り巻くリスクが多様化・巨大化・複雑化している一方で、企業価値を向上していくうえでは、事業に伴う様々な不確実性(事業リスク)に対し、戦略的な判断に基づき適切かつ積極的に対応する姿勢が求められる。このようなリスクマネジメント戦略の必要性は、民間企業のみならず公共部門や非営利組織にも共通するものであり、また公共政策的見地からも、社会全体の安全と安心を確保するうえで不可欠な視点である。

リスクへの対応方法としては、リスクの回避・防止・軽減などのリスクコントロールと、リスク顕在化時の経済的損失に備えた資金的手当てとしてのリスクファイナンスがあり、後者では損害保険が主要な役割を担っているが、リスクの性格や規模によっては従来型の保険では十分に対応できない場合も多く存在する。このため保険代替手法といわれる天候デリバティブやCATボンドといった新たなリスクファイナンス手法が開発されているが、我が国では未だ広く普及しているとはいい難い状況にある。今後、事業主体が適切にリスクマネジメントに取り組むことのできる環境を整え、我が国社会基盤のリスク耐性を向上させるような制度の構築が求められる。

本授業科目では、公務員をはじめとする今後の公共政策の形成・実施・評価に携わるプロフェッショナルとして、あるいは各種企業・組織の経営リーダーとして求められるリスクマネジメントに対する高度な専門的知識と、実践的な問題解決能力・政策立案能力を身に付けた人材の育成を目指す。具体的には、事業活動におけるリスクマネジメント手法を実践的事例も交えながら理解・修得したうえで、効果的・効率的なリスクマネジメントの普及に向けた公共政策のあり方を検討する。リスクマネジメントの実務面については、(株)損害保険ジャパン、(株)損保ジャパン・リスクマネジメント、一般事業会社、中央官庁、専門職業人等の外部講師を招き、具体的・実践的な内容とする予定である。

教材等

必要に応じて配布する。

成績評価の方法

事例演習と最終テストによる。

講義シラバス

1. イントロダクション:本講座の狙いとリスクマネジメント概要
2. コーポレートガバナンスと事業リスクマネジメント
3 .我が国におけるリスクファイナンスの発展と普及に向けた提言
4. リスク評価(定量的・定性的)手法とその目的
5. リスクコントロール(事業継続マネジメントを中心として)
6. 企業リスクマネジメントの実態と展望
7. リスクファイナンス概論、保険・再保険
8. リスクの保有と管理:キャプティブ、ファイナイト 等
9. 外部からの資金調達:デリバティブ、CATボンド 等
10. ファイナンシャル・リスクマネジメント
11. 公共政策におけるリスク評価とリスクマネジメント
12. リスクマネジメントに関する公的枠組み 〜1〜
13. リスクマネジメントに関する公的枠組み 〜2〜

※実践的手法の理解のため、事例演習を随時盛り込む予定である。
※最終回はテストを予定している。

関連項目