事例研究(現代行政 III)

担当教員

金井 利之

配当学期・曜日・時限

冬学期 月曜 4限
冬学期 月曜 5限

内容・進め方・主要文献等

本演習では、現代日本の自治体行政の現状を中心に据えて、事例を中心に観察を進めることを目的としている。

本年度の提案として、昨年度に引き続き、川崎市という特定の自治体を焦点に採りあげ、その自治体における都市づくりの展開を回顧・追跡することを想定している。本年度は、特定の拠点開発に関して、狭く深く事例研究を行うことを想定している。具体的な事例としては、現時点では、溝口駅前再開発を想定している。事例研究の過程では、川崎市の担当の現・元職員の協力を仰ぎながら、本当の素材をもとに調査研究を進めたい。

一般に、自治体職員が、自らが関わってきた都市づくりなどの政策に関して、自ら記録を残すことは必ずしも多くはない。また、組織としての自治体においても、このような実例の記録と記憶の重要性については意識されてきたが、豊富な観察記録が蓄積・整理されているとは、必ずしも言い難い。さらに、現在にもその政策は、現実的にも影響を残しており、いわば、「生乾き」であるために、実務家が客観的に記録を残して、結果を検証することを困難にしている。政策評価・行政評価や情報公開の重要性が指摘されているにもかかわらず、あるいは、評価や情報は現実政治に関わる含蓄を有するがゆえ、このような状況はあまり変わっていない。

そこで、本事例研究では、参加者による対象自治体への現地調査を組み込みながら、参加者全員で事例の観察と蓄積を進めつつ、川崎市の都市づくり事例を第三者的に回顧することとしたい。従って、本事例研究は、学外活動としての自治体現地での調査を行うこともある。

具体的には、川崎市に残されている文書資料を調査・分析することから出発するが、同時に、関係者に対するヒアリング調査も行う。ヒアリング調査に関しては、参加者は記録をまとめ、事例研究の場で報告し、「記録報告書(レポート)」を提出することを求める。期末には、これらの資料を踏まえた上で、川崎市の都市づくりの政策に関する分析と考察を行った「分析報告書(レポート)」を提出することを求める。なお、ヒアリング調査のイメージがわきにくい者は、例えば、以下のものを参照してほしい。 小池和夫『聞きとりの作法』東洋経済新報社、2000年

教材等

教材は当方で用意する。

成績評価の方法

平常点とレポートによる。

関連項目