租税政策
担当教員
配当学期・曜日・時限
夏学期 火曜 3限
内容・進め方・主要文献等
【内容】
租税政策 (tax policy) とは租税制度に関する立法学であり、ここでは、日本の税制をいかに設計すべきかについて基本的なものの見方を身につけることを目標とする。本年度は、所得税・法人税・消費税などの基幹税について検討し、あるべき税制改革の方向について自分の言葉で語ることができるようになることを目指す。学部段階における租税法・租税政策等の履修は特に前提としないが、この授業の履修に並行して、かなりの量の文献を読みすすむことが必要となる。
【進め方】
予習の効果を試す小テストなどを活用して最低限の基礎知識をおさえつつ、ゼミ形式での報告と議論により発展的な学習を行う。全員がほぼ毎週メモを提出することと、7月初旬までにレポートを完成させることが、単位取得の要件である。その意味で、学習意欲の高い方の参加を歓迎する。詳細は参加人数に応じて決定する。
【留意事項】
履修希望者は、http://www.j.u-tokyo.ac.jp/~masui/ に掲示する課題に対する解答をA4で1枚にまとめ、第1回目の授業に持参すること。
教材等
第1回目の授業で指示する。税制調査会『我が国税制の現状と課題』(2000年7月)を http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top.htmからダウンロードして、教室に持参。参考書として、金子宏『租税法』(第12版弘文堂・2007年)。
講義日程等
4/10 開講
4/17 租税原則1 (増井)
答申第一「一租税の意義と役割」「二税制と基本原則」、増井良啓「租税法における水平的公平の意義」金子古稀上(2000)を用いたレクチャー
4/24 租税原則2 (柴崎)
租税原則と実際の税制、税制の意思決定過程、税務執行と税制の関係についてレクチャー
5/1 休み
5/8 所得税1 (増井)
答申第二「一個人所得課税」の部分(約70頁)に関する小テスト。渡辺智之「所得・消費・資産」ジュリスト1289号218頁(2005年)などを用いた討論。
5/15 所得税2 (柴崎)
課税ベースのとらえ方や所得税負担のあり方について、馬場義久『所得課税の理論と政策』第2部(税務経理協会1998年)、フラット・タックスや二元的所得税に関する論文などを用いた討論。
5/22 所得税3( 柴崎)
申告納税制度の意義(国税庁による講話と質疑)
5/29 法人税1 (増井)
答申第二「二法人課税」の部分(約70頁)に関する小テスト。レポートの書き方に関する基礎的事項の確認。
6/5 法人税2 (柴崎)
税体系における法人税の位置づけと法人税改革の視点について、米国税制改革諮問委員会報告書(2005年)などを用いた討論。
6/12 消費税1 (増井)
答申第二「三消費課税」の部分(約60頁)に関する小テスト。中里実『金融取引と課税』第3章第2節(有斐閣1998年)などを用いた討論。
6/19 消費税2 (柴崎)
わが国消費税を巡る論点について、宮島洋『消費課税の理論と課題』第5章及び第6章(税務経理協会2003年)などを用いた討論。
6/26 国際課税1 (増井)
答申第二「五国際課税」の部分(約20頁)に関する小テスト。増井良啓「租税制度の国際的調和」社会科学研究53巻4号43頁(2002年)などを用いた討論。
7/3 国際課税2 (柴崎)
国際課税の現場から−その現状と課題(東京国税局調査部による講話と質疑)
7/10 発表会 レポートの発表
7/17 予備日
成績評価の方法
平常点及びレポート等による。