立法学

担当教員

山本 庸幸

配当学期・曜日・時限

冬学期 木曜 5限 (18:40〜20:20)

内容・進め方・主要文献等

法治国家の基本は、憲法を頂点とする法令の体系がいかに論理的かつ整合的に整備されていることであるといっても過言ではない。国会は国の唯一の立法機関であるが、そこで審議される法律案は、内閣提出にせよ議員提案にせよ、次のような過程をたどる。すなわち、一定の立法政策に基づいて企画立案され、関係方面との利害調整を経て立法方針が形成され、その過程で法律事項が確定し、これにより条文案が作成され、国会に提出されその審議を経て法律として成立する。

授業では、このような一連の立法過程に関する知識と理解を深め、とりわけ法律の立案から成立に至るまでの過程及び立法慣行に関する基礎的な知識の涵養を図ることを目的とする。具体的には、
(1)立法学の意義を概観した後、内閣立法と議員立法の企画立案課程を説明し、そのモデルとして基本法案の作成を試みる。
(2)法律事項の抽出が立案のポイントであることを理解させ、数々の立法慣行から成る立法技術を紹介する。新法のみならず、一部改正法案特有の立法慣行について行政法規を例にとって説明し、実際にモデルとして一部改正法案の作成を試みる。
(3)法律案の提出から成立までの一連の手続きについて、製造物責任法その他の担当教員が経験してきた法律案の事例を取り上げて説明する。講義の終わり頃には、内閣法制局を見学する。

「立法学講義」(大森政輔・鎌田薫編)を基本書とし、「実務 立法演習」及び「実務 立法技術」(山本庸幸著)を参考書とする。いずれも出版社は、(株)商事法務(2006〜2007年)である。

教材

必要な教材は、授業の都度、配布をする。また、メーリングリスト経由で配布することもある。

授業日程

10月 4日 立法学の意義及び体系並びに法令概論
10月11日 内閣立法及び議員立法ごとの法律の企画立案の手続及び過程
10月18日 基本法案の作成(T)基本法の構造等を踏まえたその立案方法
10月25日 基本法案の作成(U)受講者の立案に係る基本法案の講評
11月 1日 立法事実の整理、立案方針の策定及び法律事項の確定
11月 8日 新法及び改正法の特徴並びに改正法の新旧対照表からの作り方
11月15日 改正法案の作成(T)改正法の構造等を踏まえたその立案方法
11月22日 改正法案の作成(U)受講者の立案に係る改正法案の講評
11月29日 法律案の国会提出から国会審議を経て成立するまでの過程
12月 6日 製造物責任法の立案の過程及び法律案の審議の過程等
12月13日 法令用語及び法令表現並びに法令文の平易化の方向
12月20日 大統領制のアメリカ、議院内閣制のイギリス等の立法事情
 1月17日 内閣法制局の見学(希望者数が多い場合は、他の日にも実施)
 1月24日 筆記試験
 1月31日(予備日)

成績評価の方法

筆記試験を行うが、平常点も考慮する。

関連項目