政治思想と公共政策

担当教員

苅部 直

配当学期・曜日・時限

夏学期 月曜 5限 

内容・進め方・主要文献等

政治思想上の諸問題は、政策を作り、運用する過程に、さまざまな形で深くかかわっている。これは、いわゆる「公務員倫理」(あるいは「政治倫理」?)といったような、決定者の心得にとどまるものではない。現場で直面する、個々の課題について選択を迫られるとき、結論に至る筋道は多くの場合、何がいったい「平等」か、人のいかなる「自由」を守るべきか、政府がなすことの限界をどうさだめるか、そもそも「政治」とはいったい何なのか……といった、原理上の問いについて、当面する状況に適したアイディアを見いだす思考作業と切り離せないのである。

この授業は、担当者の報告と、参加者全員の討論による、演習形式で行なう。大学院法学政治学研究科総合法政専攻と合併で、毎回、多量の文献を読むことになるので、時間・金銭・労力の負担はかなり重い。英語と日本語の双方のテクストについて、毎週、丹念に下調べをしながら読みこなす、能力と努力が不可欠である。また、少なくとも報告者は、テクストに引用された、さまざまな古典(文学作品も含む)につき、自分でもきちんと目を通さなくてはいけない。授業時間は毎回延長する。

ほかの授業の予習や成績のことを放念して、下調べに専心し、活発に議論する「ノリのよさ」のない人は、受講しない方が、幸せな大学院生活を送れるであろう。無断欠席者は脱落者と見なす。

今回は、下記のテクストを中心に、「日常性と政治」をめぐって、議論と考察を深めたい。詳細については初回(4月16日の予定)に説明する。

教材等

Judith N. Shklar, “Ordinary Vices”(The Belknap Press of Harvard University Press, 1984:初回に配布する。)

成績評価の方法

口頭報告+ふだんの授業態度+(参加多数の場合)レポート

関連項目