労働法政策

担当教員

濱口 桂一郎

配当学期・曜日・時限

夏学期 木曜 2限 

内容・進め方・主要文献等

現代日本の労働法政策について、歴史的な概観を踏まえた上で、近年の進展を詳述する。

公労使三者構成の審議会において労使団体と政府(厚生労働省)の間で行われる対立と妥協のメカニズムを中心に、その延長戦としての国会における審議や修正も含め、具体的な労働立法の政策決定過程を跡づける形で、労働法制の内容を説明していく。いわば、完成品としての労働法ではなく、製造過程に着目した労働法の講義といえる。ただしあくまでも政策過程の目線に立ち、超越的立場から社会科学的分析を行おうとするものではない。

講義の進め方としては毎回政策分野ごとに完結する形とし、各回ともまず下記著書に基づいて戦前から今日に至る法政策の展開を略述し、その上で近年の政策文書によって最近の改正等を詳述する。必要な政策文書は政府等のホームページからダウンロードして予め目を通しておくこと(事前にアドレス・リストを配布)。それを前提に授業を進める。

法学部で講義されるような労働法の詳しい知識は前提としないが、社会政策に関する一定の歴史的知識(高校教科書レベルで十分)と、現代の政策決定過程への強い関心は必要である。

教材等

・濱口桂一郎『労働法政策』ミネルヴァ書房(2004年)。
・ 政府及び労使団体が公表した各種政策文書(各ホームページからダウンロード可能なもの)(事前にアドレスを示したリストを配布)

講義日程及び参考文献

第1回(4月12日):イントロダクション
 テキスト第1章〜第3章、第9章
第2回(4月19日):労働力需給調整システム
 テキスト第4章、
 濱口「労働者派遣と請負の間」(『季刊労働法』209号)
 濱口「労務サービスの法政策」(『季刊労働法』216号)
第3回(4月26日):雇用保険制度・一般雇用政策法制
 テキスト第5章・第6章、
 濱口「雇用保険の法的性格」(『労働法の争点(第3版)』)
第4回(5月10日):特定の人々を対象にした雇用就業対策
 テキスト第7章、
 濱口「高齢者雇用政策における内部労働市場と外部労働市場」(『季刊労働法』204号)
 濱口「定年・退職・年金の法政策」(『季刊労働法』216号)
 濱口「年齢差別」(『法律時報』2007-3月号)
第5回(5月17日):職業能力開発法政策
 テキスト第8章、
 濱口「デュアルシステムと人材養成の法政策」(『季刊労働法』213号)
第6回(5月24日):労働者災害補償保険制度・労働安全衛生法政策
 テキスト第10章・第11章、
 濱口「過労死・過労自殺と個人情報」(『季刊労働法』208号)
 濱口「最近の労働法政策について」(『中央労働時報』2005-4月号)
第7回(5月31日):労働時間法政策
 テキスト第12章、
 濱口「時間外手当と月給制」(『季刊労働法』211号)
 濱口「ホワイトカラーエグゼンプションの建前と本音と虚と実と」(『労働調査』2006-10月号)
 第8回(6月7日):賃金法政策
 テキスト第13章・第15章、
 濱口「賃金制度と労働法政策」(『季刊労働法』212号)
第9回(6月14日):労働契約法政策
 テキスト第14章、第15章
 濱口「有期労働契約と雇い止めの金銭補償」(『季刊労働法』210号)
 濱口「解雇規制の法政策」(『季刊労働法』217号)(ゲラで配布)
第10回(6月21日):男女雇用機会均等法政策
 テキスト第16章、
第11回(6月28日):職業生活と家庭生活の調和・その他の人権法政策
 テキスト第17章・第18章
第12回(7月5日):集団的労使関係システム
 テキスト第19章
 濱口「不当労働行為審査制度をさかのぼる」(『季刊労働法』206号)
第13回(7月12日):労使協議制と労働者参加・個別的労使紛争処理の法政策
 テキスト第20章・第21章
 濱口「過半数代表制の課題」(『季刊労働法』207号)
 濱口「労使協議制の法政策」(『季刊労働法』214号)
第14回(7月19日):試験(予定)

テキストを除く上記論文はすべて講師の下記サイトにアップされている。個人サイト

成績評価の方法

筆記試験を予定。

関連項目