地域政治B(現代南アジアの政治)

担当教員

竹中 千春

配当学期・曜日・時限

冬学期 木曜 2限 

内容・進め方・主要文献等

内容:現代南アジアの政治を、同時代の視点と歴史の視点を組み合わせ、国際政治・地域政治・国内政治の相互作用として捉えていく。

まず、地域大国としてのインドを検討する。インドは、グローバリゼーションの波に乗ってインドというブランドを売り出すことに成功し、今やブラジル・ロシア・中国とともにBRICsとして世界経済を先導すると言われている。だが、経済成長の裏には政治的な危機と混乱があった。90年代末のヒンドゥー右翼政権の成立、核保有、カシミールでの軍事衝突、大規模な反ムスリム暴動。だが、こうした危機を乗り越えて、2004年春以来のインド国民会議派連合政権は、改めて国民統合を図り、隣国パキスタンと共存し、貧しさの問題を抱えつつもいかに民主主義を動かすかという課題に取り組んでいる。

また、他の南アジア諸国として、紛争と平和構築を経験したネパールとスリランカ、対テロ戦争とイスラム国家パキスタンを検討する。

授業の構成:
1.地域政治:国際政治と国内政治の間
2.独立インド:貧しさと民主主義の競合
3.暴力の構図:都市・辺境・国境
4.変動の主体:底辺の人々と女性
5.紛争と平和構築:スリランカとネパール
6.対テロ戦争とイスラム国家:パキスタン

教材等

竹中千春「インド:貧しさと民主主義の競合」『アジアの政治経済・入門』(有斐閣);竹中千春「平和構築とジェンダー」『平和政策』(有斐閣);竹中千春『世界はなぜ仲良くできないの?暴力の連鎖を解くために』(阪急コミュニケーションズ);竹中千春「暴動の政治過程」日本比較政治学会編『民族共存の条件』(早大出版会);R・グハ他『サバルタンの歴史―インド史の脱構築』(岩波書店)。ビデオや英語文献も使います。

成績評価の方法

講義と自由報告・議論・ビデオ・外部講師(英語)講義など組み合わせ、参加型の授業を行うよう努力します。成績評価は期末試験を基本に、受講者数に合わせて調整します。

関連項目