エネルギー・環境技術の観点から見た産業技術論

担当教員

諸葛 宗男鈴木 達治郎

配当学期・曜日・時限

冬学期 火曜 4限 

内容・進め方・主要文献等

世界的なエネルギー需要が増大する中でわが国のエネルギー安定確保と、持続的成長を支えるための地球規模での環境対策は、公共政策上の重要課題である。現在、エネルギー・環境問題は歴史的な転換点にあり、歴史的な視点から持続的な確保策を考えることも重要である。

そこで、本講義ではこの観点からまずエネルギー史を学んだ上で、エネルギー・環境技術に関する幅広い産業技術経営のあり方とエネルギー・環境問題に関する長期的な研究開発の進め方を、できるだけ具体的事例を参照しながら把握することを目的とする。また、エネルギー・環境問題の研究開発には国際協力が必須であることから、具体的事例をもとにエネルギー技術と国際問題も取り上げる。

主な内容は以下の通りである。

1.エネルギー技術の変遷と世界のエネルギー資源・エネルギー資源の変遷・石油ピーク論
2.日本のエネルギー技術・先進的エネルギー技術、環境技術
3.産業技術経営の変遷・情報化、システム化
4.研究開発と公共政策・国家プロジェクトの実例研究・多様性と標準化
5.エネルギー技術と国際問題(原子力と核、京都議定書と技術開発等)

【進め方】講義では担当教員の経験した企業の現場での経験談を交えながら、産業技術の全体像を把握することを目指す。重要課題についてはその分野の専門家を招いて直接話を聞く機会や、要望に応じて工場や発電所見学の機会も設ける。

講義予定

第1回(10月 2日)  講義計画の説明
第2回(10月 9日)  講義:エネルギー技術の変遷
      エネルギーの歴史を環境の切り口から概観し、現在直面している課題を俯瞰する。
第3回(10月16日)  講義:日本のエネルギー技術
     日本の先進エネルギー技術−水素、原子力、バイオマス、核融合、クリーンコール   
第4回(10月23日)  見学:東京電力・電気の史料館及び東芝科学館
第5回(10月30日)  講義:日本の原子力法制度
     日本の現在の原子力法制度の課題と改革の方向性を論ずる 
第6回(11月 6日)  討論:日本のエネルギー戦略を考える
      経済産業省「エネルギー基本計画」、「原子力立国計画」、「新・国家エネルギー戦略」、「省エネ     ルギー技術戦略」、中央環境審議会「 21 世紀環境立国戦略」
第7回(11月13日)  講義:産業技術経営1
     産業技術経営−IT化進展による経営の変質
第8回(11月20日)  講義:産業技術経営2
     自主技術開発例−ウラン濃縮技術開発−
第9回(11月27日)   外部講師による講義:産業技術経営2
      シックスシグマ手法による産業技術経営
第10回(12月 4日) 講義:「エネルギー技術のガバナンス」1
      研究開発戦略と社会意思決定
第11回(12月11日) 講義:「エネルギー技術のガバナンス」2
      環境技術普及の事例:エコキュート、エコウィルなど
第12回(12月18日) 外部講師による講義:地球温暖化防止
      日本のCO2削減目標は達成できるのか
第13回( 1月15日)  外部講師による講義:資源ナショナリズムと石油ピーク論
      国際エネルギー情勢と我が国のエネルギー安全保障対策
第14回( 1月22日) 講義:原子力技術の多国間管理
       原子力発電の世界的な進展と核不拡散の両立に向けた国際的枠組み
第15回( 1月29日) まとめ

教材等

田中紀夫『エネルギー環境史』ERC出版、小宮山宏『地球持続の技術』岩波新書、
マイケル・ハリー著・伊藤沢訳『シックスシグマ・ブレイクスルー戦略』ダイヤモンド社

成績評価の方法

レポートと平常点で評価する。レポートのテーマは下記の中から1項目以上を選択する。
(1) 日本のエネルギー・環境技術
(2) 産業技術経営
(3) 研究開発と公共政策
(4) エネルギー外交

関連項目