交渉と合意

担当教員

城山 英明松浦 正浩

配当学期・曜日・時限

冬学期 火曜 2限 

内容・進め方・主要文献等

「交渉」というと何か身構えてしまう人も多いでしょうが、実際のところ誰もが毎日交渉を行っています。たとえば家庭内での会話(例えば「今夜のご飯は何にしようか?」)なども一種の交渉です。また同時に、国家間で条約を結ぶ際にも交渉は行われています。これら多様な「交渉」を幅広くとらえ、それらの共通点から見出された基本的な枠組みが「交渉学」です。幅広い分野の現場で適用可能であるため、現在では米国など各地の専門職大学院(公共政策大学院、法科大学院、ビジネススクール、都市計画大学院など)で教えられています。

「交渉」のスキルは生まれもってのものであって、勉強や練習をしても改善は難しいと思い込んでいる人が多いと思われますが、実際はそうではありません。「交渉学」の枠組みを用いて反省することで、交渉に係る問題の正しい理解が可能となり、「交渉学」を念頭に実際の交渉を進めれば、適切な問題改善へとつなげることができます。また、「交渉」の最終目標は相手を打ち負かすことでは必ずしもありません。むしろ、自分と交渉相手が今後共存できる方法をお互い納得できる形で見つけることが交渉の目標です。ですから、今回の講義で扱う「交渉学」のことを「Win-Win交渉」などと呼ぶ人もいます。また、今回の講義は公共政策における交渉と合意に焦点を当てます。個人間、企業間で行われる交渉と比べ、公共政策に関する交渉はその特性が大きく異なります。その特性についてこの講義を通じて十分理解を深めていただきたいと思います。今回の講義では特に、環境政策、まちづくりといった分野に焦点を当てますが、基本的考え方は外交交渉にも応用可能です。

本講義はスキルの体得に主眼を当てます。交渉スキルは自動車の運転と同じく、学習と実践を繰り返すことで始めて体得できるものです。そこで講義では複数の交渉シミュレーションを用い、学習した「交渉学」の理論や方法論を実際に自分自身で試していただきます。その上で、最後に、公共政策における交渉プロセスや合意形成プロセスの設計の課題についても触れたいと思います。また、現場への適用を常に念頭に置きながら講義に参加していただくため、ディスカッションへの参加を重視します。本講義は聴講の場ではなく、むしろ講師を含めた「学びあいの場」だと考えて参加してください。

教材等

フィッシャー&ユーリー.ハーバード流交渉術、三笠書房、1990.他、追って指示する。

成績評価の方法

平常点及びレポート等による。

関連項目