事例研究(法政策 II)

担当教員

井原 辰雄

配当学期・曜日・時限

夏学期 水曜 5限 (通) (18:50〜20:30)
冬学期 水曜 5限 (18:50〜20:30)

内容・進め方・主要文献等

本講義では、医師の地域偏在(産科医の不足等)、医療事故、医療財政の安定性の確保など社会的な関心の高い医療保障に関する様々な問題をケースに法政策に関する議論を行う。

具体的には、各テーマごとに、まず、現行の法制度について簡単な講義を行い、その後、現行制度の問題点とそれについての対応策を議論して新たな政策を提示し、それを具体的に法律に書き表していくことにより、政策、法律の立案能力を身につけてもらうこととする。

各テーマごとに、担当者を決め、政策案の提示を行ってもらい、それをもとに議論を進めることとするので、担当となった受講者は、翌週の授業の前々日午後10時までに担当教員へ資料をメールで送付してもらうこととする。

具体的には、医療資源の適正な配分(医師の地域偏在、医療計画の問題等)、医療財政の安定性の確保(税と保険、一部負担の問題等)、医療保障における効率性と公平性(株式会社の医療機関経営、混合診療の問題)、高齢者医療制度と介護保険制度、医療個人情報の保護と医療情報の活用(レセプト情報の活用等)、医療の質の評価と医療事故(医療機能評価制度、医療事故補償制度等)、医療保障制度の運営、政策決定への参加(保険運営の在り方、地方自治体の役割等)などをテーマとする予定であり、これに関連する主な法律をあげると以下のとおりである。

・医療法、医師法、健康保険法、国民健康保険法、介護保険法、生活保護法、高齢者の医療の確保に関する法律、個人情報保護法

教材等

・テーマごとに、あらかじめ関連資料を配布する。

・参考文献としては、拙著「医療保障法」(明石書店、2006年)、社会保障判例百選(第3版)(有斐閣、2000年)、栄畑潤著「医療保険の構造改革 平成18年改革の軌跡とポイント」(法研、2007年)等

講義日程

<夏学期>

第1回 講義計画の説明及び医療保障政策を巡る問題について討論
•  履修希望者は、医療保障政策の問題点について、A4横書き1枚程度にまとめておくこと。
•  報告担当テーマの割り振り

第2〜5回 医療資源の適正配分について
•  医療法(医療計画等)についての講義及び討論(第2回)
•  医療資源の適正配分のための政策要綱の作成(第3回)
•  政策要綱の法案化(第4・5回)
•  医師の地域偏在、病床の適正配置等の問題について討論

第6〜8回 外国人に対する医療保障について
•  国民健康保険法、生活保護法に関する最高裁判例について討論(第6回)
•  外国人に対する医療保障に関する政策要綱の作成(第7回)
•  政策要綱の法案化(第8回)
 ※ 社会保険制度における被保険者の考え方等について討論

第9〜14回 医療費保障について
•  医療保険制度についての講義及び討論(第9回)
•  介護保険制度及び高齢者医療制度についての講義及び討論 ( 第10回 )
•  医療費保障に関する政策要綱の作成(第11・12回)
•  政策要綱の法案化(第13・14回)
•  税と保険、医療費の適正化、一部負担のあり方、介護と医療の関係等について討論

第15回 医療保障の効率性と公平性について
•  混合診療、株式会社の医療機関経営について討論
  ※ 規制改革・民間開放推進会議等における議論を踏まえ、討論

<冬学期>

第16〜19回 医療情報について
•  医療に関する個人情報保護について講義及び討論(第16回)
•  医療情報に関する政策要綱の作成 ( 第17回 )
•  政策要綱の法案化(第18・19回)
•  医療情報の電子化と個人情報保護を巡る問題点等について討論

第20〜22回 医師と患者の関係について
•  医師と患者、保険者の関係について講義及び討論(第20回)
•  患者の自律に関する政策要綱の作成(第21回)
•  政策要綱の法案化(第22回)
•  インフォームドコンセント、終末期医療等について討論

第23〜27回 医療の質について
•  医療の質の評価、医療安全に関する政策について講義及び討論(第23回)
•  医療の質に関する政策要綱の作成(第24・25回)
•  政策要綱の法案化(第26回・27回)
•  医療機能評価制度、医療事故調査制度、医療事故補償制度等について討論

第28〜30回 医療政策における参加について
•  医療政策立案、保険運営への参加について講義及び討論(第28回)
•  医療政策における参加保障に関する政策要綱の作成(第29回)
•  政策要綱の法案化(第30回)
 ※ 医療保険制度一元化等について討論

成績評価の方法

平常点(授業への参加、発言及び課題への回答)による。

講義用ページ

事例研究(法政策U)私設ページ

関連項目