ヨーロッパ統合と法2

担当教員

伊藤 洋一、 網谷 龍介

配当学期・曜日・時限

冬学期 水曜 3限 金曜 3限

内容・進め方・主要文献等

ヨーロッパ各国では,国内法の「ヨーロッパ法化」が近年顕著な現象となっており,そのことは往々にして極めてナショナリスティックな反発を生んでいる.しかし,デマゴーグの言うところとは異なり,ヨーロッパ法は,決して加盟国と全く無関係に「ブリュッセル」が形成してきたものではない.

残念ながら,日本におけるヨーロッパ法研究は,ともすればヨーロッパレヴェルのみを対象とし,ヨーロッパ法の持つ動態的な性格を軽視しがちである.しかし,ヨーロッパ法は,決して EC 裁判所が象牙の塔の中で無から作り上げたものではなく,加盟国の国内裁判所との間の相互的影響のもとに形成されてきたものであることを忘れてはならない.

上記文献は, EC 法の優越が,なぜ加盟国によって受容されてきたかという問題を,ドイツとフランスについて検討した興味深い事例研究である.上記文献を手がかりとして, EC 裁判所と両国の国内裁判所との相互影響関係を具体的に検討することにより,ヨーロッパ法に対する理解を深めることが,本演習の目的である.

具体的には,上記の英語文献を,参加者が分担して報告するという形式で進める予定である.

なお,参加には,ヨーロッパ法に関する基本的知識を持っていることが,不可欠であるので,予めヨーロッパ法を聴講しておくか,信頼できるヨーロッパ法総論の概説書を読んでおくこと.

なお,初回に報告分担者の決定を行うので,教材を入手の上,開講時に必ず持参すること.

 

教材等

・ Alter, Karen J., Establishing the Supremacy of European Law: The Making of an International Rule of Law in Europe, Oxford, Oxford UP, 2001, xxvi, 260 p.[ISBN 978-0199260997]

成績評価の方法

レポート・平常点による

関連項目