フランス法の基本的諸問題(演習)

担当教員

北村 一郎

配当学期・曜日・時限

冬学期 水曜 5限

内容・進め方・主要文献等

※9月12日更新
内容
: フランスにおける判例のあり方、特に、主として民事における判例変更の効果の問題をテーマとする。
  フランスでは判例による法創造には異論はないが、しかし、判例の形式的な(法律と同じ資格での)法源性は、むしろ相変わらず否定されていると言わなければならない。実際、フランスに独特な法律中心主義のもとでは、判例は法律の解釈を示すものにすぎないので、判例変更の場合でも、その法律規定は、はじめからそのような意味を持っていたものとみなされる。即ち、判例変更には遡及効が認められるわけである。
  ところが、例えば銀行取引のように多数の者が関係し得る分野では、この考え方では、多くの訴訟を誘発するという実務的不都合があるが、それは、法律改正により対処すれば良いというのが従来の考え方であった。しかし、それでも、アメリカのように判例変更の効果を将来効に限るという方式を導入できないか、という種類の議論があり、そこから、破毀院の報告書が 2004 年に提出され、現在では、判決自身による将来効への限定が承認されるに至っている。
  この機会に、判例変更とは何か、という点に関する文献を読んで考えてみよう。

進め方 : 本演習は、同時に、フランスの法文献を正確に読む訓練を兼ねるので、毎回の進度は多くはないが、全員の毎回の予習が必要である。かつ、若干の時間延長もあり得る。

参考文献 : 差し当たり、北村(編)『アクセスガイド外国法』のフランス法の項のT。

開講日 : 10月8日(水)

教材等

Nicolas Molfessis (dir.), La Cour de cassation et l'elaboration du droit , Paris, 2004. (プリント用意の予定)

成績評価の方法

平常点およびレポート等による。

関連項目