リスクマネジメントと公共政策

担当教員

齊藤 誠・高岡 慎・足立 尚人金本 良嗣林 良造

配当学期・曜日・時限

夏学期 木曜 5限

内容・進め方・主要文献等

大規模災害リスクや環境リスク、株主代表訴訟など、企業活動を取り巻くリスクが多様化・巨大化・複雑化している一方で、企業価値を向上していくうえでは、事業に伴う様々な不確実性(事業リスク)に対し、戦略的な判断に基づき適切かつ積極的に対応する姿勢が求められる。このようなリスクマネジメント戦略の必要性は、民間企業のみならず公共部門や非営利組織にも共通するものであり、また公共政策的見地からも、社会全体の安全と安心を確保するうえで不可欠な視点である。
リスクへの対応方法としては、リスクの回避・防止・軽減などのリスクコントロールと、リスク顕在化時の経済的損失に備えた資金的手当てとしてのリスクファイナンスがあり、後者では損害保険が主要な役割を担っているが、リスクの性格や規模によっては従来型の保険では十分に対応できない場合も多く存在する。このため保険代替手法といわれる天候デリバティブやCATボンドといった新たなリスクファイナンス手法が開発されているが、我が国では未だ広く普及しているとはいい難い状況にある。今後、事業主体が適切にリスクマネジメントに取り組むことのできる環境を整え、我が国社会基盤のリスク耐性を向上させるような制度の構築が求められる。
本授業科目では、公務員をはじめとする今後の公共政策の形成・実施・評価に携わるプロフェッショナルとして、あるいは各種企業・組織の経営リーダーとして求められるリスクマネジメントに対する高度な専門的知識と、実践的な問題解決能力・政策立案能力を身に付けた人材の育成を目指す。具体的には、事業活動におけるリスクマネジメント手法を実践的事例も交えながら理解・修得したうえで、効果的・効率的なリスクマネジメントの普及に向けた公共政策のあり方を検討する。リスクマネジメントの実務面については、椛ケ害保険ジャパン、椛ケ保ジャパン・リスクマネジメント、一般事業会社、中央官庁、専門職業人等の外部講師を招き、具体的・実践的な内容とする予定である。

 

講義予定

  4/10 イントロダクション/リスクマネジメント実務@/リスクに関わる統計・数理@
  4/17 公共政策とリスクマネジメント/リスクマネジメント実務A
  4/24 リスクマネジメントとコーポレートガバナンス/リスクに関わる統計・数理A
  5/1 リスクに関わる統計・数理B/リスクマネジメント実務B
  5/8 特別講義@「化学物質のリスクと公的規制」
  5/15 リスクに関わる統計・数理C/リスクマネジメント実務C
  5/22 特別講義A「新型インフルエンザのリスク対策とBCP」
  5/29 リスクに関わる統計・数理D/リスクマネジメント実務D
  6/5 特別講義B「産業廃棄物と環境リスク管理」
  6/12 リスクマネジメント実務E
  6/19 特別講義C「環境リスクと国の対応」
  6/26 金融工学理論
  7/3 リスクマネジメントのインセンティブと問題点
  7/10 特別講義D「保険と金融の融合」
  7/17 リスクマネジメントと公共政策

教材等

必要に応じて配布する。

成績評価の方法

事例演習、課題ペーパー等による。

関連項目