事例研究(グローバル資本市場法制)

担当教員

松尾 直彦・小野 傑

配当学期・曜日・時限

冬学期 水曜 3限

内容・進め方・主要文献等

(9/10更新)
 資本市場は、投資家の資金運用及び企業等の資金調達の機会を提供することにより金融仲介機能を果たすとともに、価格形成等を通じて経済全体の羅針盤ともいえる機能を果たしている重要な基盤(インフラ)である。
 最近、我が国では、資本市場の参加者である上場企業等を巡るM&A活動が注目されており、これには、いわゆる「内―内」のみならず、「内―外」や「外―内」といったグローバルなM&A活動もみられる。また、世界の主要国・地域においても、足元はサブプライム・ローン問題の影響を受けているものの、M&A活動は持続的に行われており、それに関連してファンドの活動等も増大している。
M&Aは、企業に「価格・値段」を付けて企業を売買する活動といえるものであり、透明かつ公正な価格形成を通じた、投資者等に対する資本市場の情報伝達機能と密接な関わりを有するものである。また、M&Aは、「総合芸術」と言われていることに示されるように、法務、財務会計、ファイナンスや経営などの各種の専門分野が関係する学際的分野である。
 以上を踏まえ、この事例研究では、グローバルな資本市場の動向に即応した資本市場法制の展開として、グローバルなM&A法制を中心に考察する。
 進め方としては、第1回〜第10回で、最近のM&Aの展開、ファイナンス理論による企業価値論、英国・米国・我が国のM&A法制と判例及び日本企業のM&Aについて、実務家(証券会社関係者・米国弁護士・弁護士)のゲスト・スピーカーから説明を受けて、議論を行う(証券会社及び法律事務所で各1回開催する)。そして、第11回〜第13回で、参加者が課題を選んでの報告とそれに基づく議論を行う。その際には、実務家(弁護士)がゲストとしてコメントを行う。参加者は自らの報告とそれに対する議論を踏まえて最終的にレポートを提出する。最後の第14回で、まとめを行う。なお、以上の構成は、今後変更があり得る。
 参加者は20名程度を想定している。参加希望者は、希望理由をA4一枚以内にまとめて、9月24日(水)までに担当教員(松尾直彦:アドレスは公共政策大学院係又は法科大学院係において確認すること)あてメールにて送付すること。希望者多数の場合には、希望理由等を考慮して、参加者を選抜する。
 参加したにもかかわらず、レポートを提出しない者は、「未受験」ではなく「不合格」にするので、留意されたい。

第 1 回 簡単なイントロダクション及びM&Aの意義と最近の展開
第 2 回 企業価値一般 
第 3 回 M&Aにおける企業価値
第 4 回 英国の資本市場法制とM&A法制
第 5 回 米国の資本市場法制とM&A法制
第 6 回 米国のM&A判例
第 7 回 日本のM&A判例―ブルドッグソース事件最高裁決定を中心に
第 8 回 日本のM&A法制・会計・税務
第 9 回 日本企業のM&A
第 10 回 日本企業のM&A
第 11 回 参加者による報告と議論@
第 12 回 参加者による報告と議論A
第 13 回 参加者による報告と議論B
第 14 回 まとめ

教材等

必要な教材は、授業の都度、配布する。

成績評価の方法

平常点とレポートによる。

関連項目