海事産業・政策論

担当教員

長谷 知治

配当学期・曜日・時限

夏学期  木曜 2 限

内容・進め方・主要文献等

海事産業といっても、鉄道、自動車、航空と異なり、海猿は見たことがあっても船に乗る機会は少なく、身近には感じられないところがあるかもしれません。しかしながら、海上輸送は海外貿易量の99%以上、国内の輸送活動量の約4割を担うなど、四面を海に囲まれ、資源に乏しく、自給率も低い日本にとって海事産業の果たす役割は大変重要です。
また、船は世界を舞台にした輸送機関であり、輸送、貿易、技術基準等その政策の遂行にあたっては、国際海事機関(IMO)、WTO等国際的な対応が必要です。最近では海賊、テロなどセキュリティへの対応も高まっています。さらに、離島生活を支える生命線であるとともに、船員確保等の高齢化対策、CO2等環境対策の観点やクルーズやプレジャーボート等レジャー的側面も有する等多種多様な観点を有しています。
また、海上輸送が行われる際には、港湾、航行安全、税関、保険等様々な主体が関わってきます。さらに、最終的に物が届くためには、荷主やトラック等他の機関との連携も重要です。このため、政策の遂行にあたっては、国交省、経産省、財務省、農水省、外務省、環境省等多数の中央省庁や地方自治体等が連携して行われている分野であり、どの公的機関においても重要な公共政策の一例として面白い分野です。
本講義においては、以上のような特徴を有する海事産業・政策について、歴史的経緯、国際的な動向も含め、具体例を交えながら、また海洋学際教育プログラムの一つでもあるため、政策に係る知識がない人でも、中央省庁における条約・法律、予算、税制等の政策立案過程・方法も理解できるよう、講義を行います。また、第一線で事業に携わっている方々を講師に招くほか、海上保安庁の船舶や港の見学等を行い、海事産業・政策の実態、課題をより具体的に把握・体感する機会を予定しています。その上で、政策提案を行う等により若手行政官等との議論の場を設け、政策過程の最前線に触れてもらうとともに、理解の深度化を図ります。

教材等

平成20年度版海事レポート
このほか、審議会報告等を使用する予定。

成績評価の方法

平常点及びレポート等による。

関連項目