金融システムと金融行政

担当教員

石田 晋也

配当学期・曜日・時限

冬学期 火曜 5限

内容・進め方・主要文献等

【目的】
サブプライムローン問題に端を発し金融システムは大きく動揺し、 2008 年秋にはリーマンショックによって金融システムは危機的な状態に陥った。一方で、我が国はバブル崩壊後、長く不良債権問題に苦しみ、深刻な金融危機も経験した。

金融システムの安定は、国民生活の安定と経済成長に不可欠であるが、まさに経験が示す通り、実現は容易でない。金融システムの安定確保のため、具体的にどのような政策が必要、適当、可能か。これまでの経験や研究を通して学んできたことも多いが、新たな問題が様々提起され、現在、国際的に活発に議論されている。

金融システムに係る政策は、どこかに確定的な正解といったものが用意されているわけでなく、当局は常に現実と将来を見据えて適切な対策を考えて出していくことが必要であり、専門知識とともに高い企画立案能力が求められる分野である。本講義では、金融システムを巡る具体的な課題と政策等を議論することを通じて、参加者が実践的に政策を考える力を養うことを目的に進めていきたい。

【進め方】
講義では、最初に今後の課題や政策を考えていく際の前提となる基本的な知識を習得した上で、それを土台として、今後の課題等を議論していくことにしたい。具体的には概ね以下のように進める予定である。

T 序論 ― 基礎知識

○ 金融制度等の概要 ― マーケットの構造、規制の全体像、機能と現状 等
○ 我が国の経験と政策 ― 不良債権問題、住専問題、金融危機、セーフティーネットの整備、監督規制の展開、「ビックバン」、「将来ビジョン」等
○ 今次の金融危機と対策

U 今後の金融システムの課題と政策

○総論 − 課題の全体像・見取り図
○各論@ − 金融システム全体のあり方(銀行中心モデルと市場型間接金融等)
○各論A − 安定確保の対策(銀行規制のあり方、マクロプルーデンス等)
○各論B − 市場規制の問題(証券化の問題、格付け機関に対する規制等)
○各論C − 検査監督の課題
○各論D − 地域金融問題

教材等

教科書は特に使用しない。
参考文献を、講義の中で適宜、指示する。

成績評価の方法

筆記試験による。

関連項目