政治思想と公共政策

担当教員

苅部 直

単位数・配当学期・曜日・時限

2単位 夏学期 火曜5限

内容・進め方・主要文献等

 政治思想上の諸問題は、政策を作り、運用する過程に、さまざまな形で深くかかわっている。これは、いわゆる「公務員倫理」(あるいは「政治倫理」?)といったような、決定者の心得にとどまるものではない。現場で直面する、個々の課題について選択を迫られるとき、結論に至る筋道は多くの場合、何がいったい「平等」か、人のいかなる「自由」を守るべきか、政府がなすことの限界をどうさだめるか、そもそも「政治」とはいったい何なのか……といった、原理上の問いについて、当面する状況に適したアイディアを見いだす思考作業と切り離せないのである。 

この授業は、担当者の報告と、参加者全員の討論による、演習形式で行なう。大学院法学政治学研究科総合法政専攻と合併で、毎回、多量の文献を読むことになるので、時間・金銭・労力の負担はかなり重い。毎週、丹念に下調べをしながら読みこなす、能力と努力が不可欠である。また、少なくとも報告者は、テクストに引用された、さまざまな文献につき、自分でもきちんと目を通さなくてはいけない。授業時間は毎回延長するので、6限で他科目を履修しようと考えている人はご遠慮願いたい。 

ほかの授業の予習や成績のことを放念して、下調べに専心し、活発に議論する「ノリのよさ」のない人は、受講しない方が幸せな大学院生活を送れるだろう。無断欠席者は脱落者と見なす。 

今年は、丸山眞男と京極純一のテクストを読み、戦後日本の政治学がもっていた意味を、もう一度歴史の文脈において再検証する機会としたい。『日本の政治』については、英語訳(コピーを配布する)も参照しながら、日本特有の政治用語を外国語でどう表現するか、といったことも含めて、議論する。開講は4月13日の予定。

教材等

丸山眞男『現代政治の思想と行動』新装版(未来社、2006年)、京極純一『日本の政治』(東京大学出版会)。両書とも、生協で各自購入すること。『現代政治の思想と行動』は、(討論のさい、参照頁数を統一する必要があるので)初版・増補版・『丸山眞男集』版でなく、この新装版を入手されたい。

成績評価の方法

口頭報告の出来+ふだんの授業態度+(参加多数の場合は)レポート

関連項目