公共政策の経済評価

担当教員

金本 良嗣

単位数・配当学期・曜日・時限

4単位 冬学期 火曜2限 木曜5限

2010年度冬学期提出レポート

内容・進め方・主要文献等

政策形成をより合理的なものに改善していくためには,政策分析の質的向上が必要である.政策分析の流れは,[1]現在直面している問題の構造を明らかにする,[2]問題を解決するための政策代替案を構想し,設計する,[3]各政策代替案のインパクト(効果・影響)を予測する,[4]適切な評価基準にしたがって政策インパクトの評価を行う,[5]これらの分析結果を基礎に政策提言を行うといったものである.現実の具体的な政策課題について,これらの各ステップを有効に遂行する能力を養うのがこの科目の目的である.

豊富な事例を用いながら,政策分析に必要な各種の手法を教え,それらを現実の政策課題に適用する能力を養う.カバーするトピックは,(1)費用便益分析の理論的基礎,(2)社会的割引率,(3)リスクと不確実性,(4)存在価値,(5)需要曲線の推定による便益評価,(6)ヘドニック法,トラベルコスト法等の顕示選好法,(7)CVM,(8)シャドープライスの設定法,(9)社会実験による政策評価等である.また,社会資本投資,市場設計,規制評価等の事例の分析も行い,具体的な事例に関する政策分析レポートの提出が要求される.

なお,経済学及び統計学の素養が前提となるが,高度な経済学的分析を追求するものではなく,前提とする水準は「経済学基礎」及び「統計分析手法」程度である.

以下の科目が前提履修科目である(同時履修も可)。
(1)ミクロ経済学、あるいは経済学基礎
(2)計量経済学、あるいは統計分析手法

教材等

教科書:Boardman, Anthony E., David H. Greenberg, Aidan R. Vining, and David L. Weimer. Cost-Benefit Analysis: Concepts and Practice. 3rd ed., Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ, 2006. (2版の邦訳:『費用便益分析?公共プロジェクトの評価手法の理論と実践』岸本光永監訳,ピアソン・エデュケーション,2004年).
金本良嗣・蓮池勝人・藤原徹『政策評価ミクロモデル』東洋経済新報社,2006年.

成績評価の方法

中間試験,最終試験,練習問題,政策評価レポート,授業における発表と参加度による.ウェイトの目安は,掲載順に,20%,30%,15%,30%,5%である.

関連項目