ヨーロッパ統合と法1

担当教員

伊藤 洋一

単位数・配当学期・曜日・時限

2単位 夏学期 水曜4限

内容・進め方・主要文献等

内容

ヨーロッパ統合の大きな特色は,「法による統合」であることである.その結果,ヨーロッパ各国では,国内法の「ヨーロッパ法化」が近年顕著な現象となっており,EU法の影響を無視して加盟国の国内法を研究することは,次第に困難となってきている.

そのような影響は,近時加盟国の相次ぐ憲法改正にも顕著となってきている.そこで,今年度は,そのような具体例として,2008年のフランス憲法改正事例を取り上げる予定である.

同憲法改正により,フランスにも事後の具体的違憲立法審査が導入されることとなり,その施行法たる組織法律が2009年12月10日に成立したばかりであるが,EU法を含む条約との適合性審査と違憲審査との関係が,同法の審議過程では重要な争点となっていた.そこで,本演習では,この点に関する議論を素材として,フランス憲法規範とヨーロッパ法との適用関係問題を検討する.

現時点では、上述のフランス語文献を講読する予定であるが、上記12月10日法の成立に伴い,開講までに更に最終的な法文を前提とした,最新かつ適当な文献が現れる可能性が高い.従って、そのような場合には,教材の変更がありうることに注意されたい.

進め方

本演習では,下記フランス語文献を,特に参加者の分担を事前に決めることなく,講読する.教材とする文献は,その内容上,ヨーロッパ法に関する一応の知識(法源,政策決定過程等)を前提して書かれているので,できればヨーロッパ法の授業に出席するか,適当な概説書を予め読んだ上で,本演習に出席することが望ましい.

なお,フランス語文献読解の訓練も,本演習の重要な目的の一つである.本格的なヨーロッパ法研究には,英語だけでは到底十分とは言えない.フランス語を読む意欲のある者の参加を希望する.

教材等

L. Burgorgue-Larsen, Question préjudicielle de constitutionnalité et contrôle de conventionnnalité, Revue française de droit administratif 2009, p. 787-799 (開講時に必要部分のコピーを配付予定)

成績評価の方法

平常点による

関連項目