国際政治経済と国内制度
担当教員
単位数・配当学期・曜日・時限
2単位 冬学期 水曜3限
内容・進め方・主要文献等
開放経済の国際的進展と社会主義圏の体制崩壊以降は、民主政治・市場経済の世界大の拡散・規範化に伴い、各国の国内制度―民主政府、行政能力、人権保障、市場制度（所有権・法の支配）の確立度―が、貿易・投資や資本移動の拡大はもとより、貿易投資協定や通貨協定、経済支援・援助、経済制裁などの重要な規定要因になっていることは広く理解・検証されている。当初は民主化度に限定されていた国際経済関係の国内規定要因も、現在の理論的最前線では、（１）国際経済関係の諸領域を規定する具体的国内制度の精査と（２）国際的な財政金融規律・構造改革の波及要因、特にアメリカの政策的・政治的影響の吟味へと議論が展開され、その内容も洗練されてきている。
本講では、政治制度分析を理論的基礎に、政治経済や国際政治経済の活発な研究領域である、国際経済関係と国内構造改革の連動関係を規定する国内制度要因と国際構造要因について、IO, APSR, AJPS, ISQなどの学術雑誌を中心に、最新研究を概観する。その目的は、政治経済・国際政治経済を横断する統一的分析視角としての実証的制度分析の効用と可能性を明確にすることである。
概要は 以上を予定しているが、詳しいシラバスは初回に配布する。
I. 国際政治経済と政治制度分析
1. 国際政治経済と国内制度
2-3. 政策と政治制度―代表（選挙）制度・拒否権者構造・政党制
II. 国際経済変動と国内制度
4. 国際経済と国内改革
5. 国内改革と国際合意
6. 国際合意と国内制度
III. 国際経済関係の国内制度要因・国際構造要因
7-8. 国際貿易・投資関係と国際協定・国際機関
9-10. 国際通貨・金融関係と国際協定・国際機関
III. 経済外交の国内制度要因・国際構造要因
11. 経済援助の規定要因
12. 経済制裁の規定要因
毎週分担して論文数本を読む予定なので負担は軽くはない。国際政治経済、アメリカ政治、統計の知識は履修要件ではないが、各自必要に応じて 補習する積極さは要求される。政治制度分析に不案内の学生は Mark S. Bonchek and Kenneth A. Shepsle, Analyzing Politics (W.W. Norton, 1996)などを参照の上、ゼミで不明点を質問すること。
受講者は前日までに内容に関する疑問点等をA4要旨１頁程度に纏めたメモを全員に配布する義務がある。それに基づいて、毎回、文献の内容、その理論的貢献、知見、含意などを議論する
教材等
・初回にシラバスを配布する。具体的には国内制度に関する最近の政治制度分析の業績と「国際政治経済II」のシラバスで特に関係する論文を想定している。
・教材はほとんどがe-journal で学内からダウンロードできるが、入手が難しいものは、当方でコピーを用意する。
成績評価の方法
出席点と授業の議論の参加度