ラテンアメリカ左翼の軌跡と「左派政権」

担当教員

大串 和雄

単位数・配当学期・曜日・時限

2単位 夏学期 水曜4限

内容・進め方・主要文献等

左翼勢力は、20世紀のラテンアメリカ政治の力学を規定する主要な要因の一つであった。そして21世紀になって、ラテンアメリカでは左派が復活したと言われる。数え方にもよるが、今日、ラテンアメリカの過半数の政権が「左派政権」と位置づけられる。

本科目は、このようにラテンアメリカの政治でかつて重要な役割を果たし、今日も果たし続けている左翼勢力の軌跡と現状を理解することを目的とする。授業は演習形式で行なう。本演習を通じて履修者は、ラテンアメリカの左翼の歴史的特徴とともに、左翼勢力のイデオロギーや行動がどう変化してきたのか、そして今日の「左派政権」が実際にどのような政策を行なっているのかを理解するであろう。

演習は「教材等」に記した2冊のテキストの講読を中心に行なう。テキストは履修者が各自入手しておく。特にUtopia Unarmedのペーパーバック版は非常にお得である。テキストを購入した者には全員履修を許可するので、インターネット書店などで早めに注文することが望ましい。入手が間に合わなかった者のために念のためマスターコピーを用意しておく。

Leftoversの内容を理解するための補足文献として、遅野井茂雄・宇佐見耕一編『21世紀ラテンアメリカの左派政権―虚像と実像』(アジア経済研究所、2008年)を読んでおくことが望ましい。また、1970年代末以降のラテンアメリカの左翼思想に関しては、大串和雄『ラテンアメリカの新しい風―社会運動と左翼思想』(同文舘出版、1995年)の第2部も参考になる。

9月に1泊ないし2泊の合宿を行ない、大学院生はそこでラテンアメリカまたはラテンアメリカ以外の左翼に関連するテーマまたは事例の報告を行なう。

教材等

Jorge G. Castañeda, Utopia Unarmed: The Latin American Left after the Cold War (New York: Alfred A. Knopf, 1993). Vintage Booksから安価版あり。
Jorge G. Castañeda & Marco A. Morales (eds.), Leftovers: Tales of the Latin American Left (New York: Routledge, 2008).

成績評価の方法

出席、課題の提出、授業への貢献等を総合的に考慮する。

関連項目