事例研究(環境・技術政策2)

担当教員

谷口 武俊吉澤 剛城山 英明

単位数・配当学期・曜日・時限

4単位 夏学期 月曜5限 月曜6限

内容・進め方・主要文献等

科学技術をめぐる公共政策と通常の公共政策にはどういった違いがあるのだろうか。不確実なデータをもとに、政策スタッフは意思決定者にどのような分析と報告をしなければいけないのだろうか。高度の専門性を必要とする科学技術政策に一般の市民をどのように関与させればよいのだろうか。先端科学とその将来の利用形態の不確実性や複雑性を、政策決定ではどう扱わなければいけないのか。科学技術専門家の社会的責任とはいったい何を指すのであろうか。科学技術政策分析は、社会における様々な価値観、論争や潜在的な対立をどのように扱えばよいのであろうか。本授業では、このような疑問を、主に環境・エネルギー政策分野における現実の事例研究を通して考えていく。

授業では、まず、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)の考え方・手法・制度について検討する。TAとは、従来の研究開発・イノベーションシステムや法制度に準拠することが困難な先進技術に対し、その技術発展の早い段階で将来のさまざまな社会的影響を予期し、社会的対応案を提示することで、技術や社会のあり方についての問題提起や意思決定を支援する制度や活動を指す。

具体的な進め方として、地球温暖化対策技術に焦点を当てて、まず、環境・エネルギー技術政策に関わる最新の動向について報告書・文献や内外の専門家との議論を通して学ぶ。その上で、グループに分かれ、任意の地球温暖化対策技術を選択し、多面的な社会的含意に注意しつつ、事例研究としてTAを試行的に実践する。対象としては、次世代自動車技術(電気自動車・プラグインハイブリッド)、次世代電力網技術(スマートグリッド)、再生可能エネルギー技術(太陽電池、バイオマスエネルギー)、住宅関連省エネルギー技術、原子力技術等が考えられる。TAの実践に際しては、政府、企業、NGO等様々な関係者に準備の上インタビューを行い、報告先として一定の意思決定者を念頭に置いた上で、TA報告書をまとめる。報告書のプレゼンテーションも行い、最終的には、事例研究に基づいたレポートを提出することとする。なお、優れたTA報告書については、実際的な社会的インパクトを持つよう、アウトリーチ展開を支援することも予定している。

教材等

追って指示する。

成績評価の方法

平常点及びレポート等による。

関連項目