知的財産政策

担当教員

加藤 浩

単位数・配当学期・曜日・時限・使用言語

2単位 / 夏学期 / 金曜4限 / 日本語

授業の目標・概要

知的財産政策や国際政策・産業政策に関与した政府専門家の立場から、知的財産創造立国の政策理念や今後の課題について概説し、公共政策としての知的財産法制のあり方について考えることを講義のねらいとする。 

講義は三部から成る。

第1に、特許法・著作権法等の知的財産法の基本的機能を概観する。特に、バイオテクノロジーや情報技術(IT)、デジタルコンテンツなど先端技術分野が知的財産法制に与えた影響等について論ずる。基本的な重要判決についても紹介したい。

第2に、大学改革・産学連携の促進等、国の科学技術システムの改革に関する政策と知的財産法制及び関連法制の政策的ねらいについて論ずる。具体事例として、大学の知的財産本部や企業の知的財産部の現状についても紹介する。 

第3に、貿易、環境、南北問題など、グローバルな課題に関連する国際知的財産法制の動向を俯瞰しつつ、今後の日本の政策の選択について考える。模倣品対策、制度調和など、この分野の検討課題は政策的にも重要である。 

受講生として、公共政策に関心のある文科系の研究生・社会人だけでなく、技術系の研究生・社会人も想定し、関心事項であるトピックス(産学連携、職務発明、司法制度改革など)も適宜取りあげていく予定である。

なお、講義全体を通して、知的財産政策に係る事例研究をとり入れると共に、毎年策定されている知的財産推進計画についても論及する。

講師の意図としては、知的財産法制・政策がどうなっているかより、なぜそうなっているかを考えることに主眼を置いた講義を進めることとしたい。法制・政策の歴史的経緯や政策決定プロセスについても論じる予定である。

参考教材(下記)とは別に、講義のための資料を講師が作成し、配布する。判例や審議会等資料を講義に使用する場合は事前に指示することとする。

(希望者には、特許庁の口頭審理見学会などを実施する予定。)

授業のキーワード

知的財産, 特許, 商標, 著作権, 科学技術政策, 産業政策

授業計画

第1回  知的財産政策の現状と課題
第2回  特許行政の重点と方向性
第3回  職務発明制度の現状と課題
第4回  生命科学と知的財産権
第5回  情報技術と知的財産権
第6回  不正競争防止法と営業秘密(ノウハウ)
第7回  地域政策における知的財産政策
第8回  科学技術政策における知的財産政策(1)
第9回  科学技術政策における知的財産政策(2)
第10回  産学連携施策における知的財産政策
第11回  知的財産法制と国際政策(1)
第12回  知的財産法制と国際政策(2)
第13回  模倣品対策(水際措置)
第14回  遺伝資源・伝統的知識の保護
第15回  知的財産政策の将来ビジョン

授業の方法

原則として、講義形式による。課題を提示し、簡単な演習を行う場合もある。

成績評価方法

原則として、レポートと出席によって評価を行う。演習を行う場合には、提出物も評価の際に考慮する。

参考書

隅蔵康一『知的財産政策とマネジメント』(白桃書房、2008年)
土肥一史『知的財産法入門』(中央経済社、2009年)
高倉成男『知的財産法制と国際政策』(有斐閣、2001年)
金井重彦(他)『不正競争防止の法実務』(三協法規出版、2010年)

履修上の注意

特になし。

関連項目