公共哲学と法
担当教員
井上 達夫
単位数・配当学期・曜日・時限・使用言語
2単位 / 冬学期 / 水曜5限 / 日本語
授業の目標・概要
価値観や利害が多元的に分裂競合する現代社会において、公共性とはまた、公私の区別は一体何を意味するのか。そもそもかかる多元的社会において公共性を語ることは可能なのか。公共性の主張は結局、特定の私的利害や私的価値関心を他者に押し付けるためのイデオロギー的合理化装置に過ぎないという批判にいかにして応えうるのか。
多元的社会における公共性なるものが可能だとしても、かかる公共性をもつ価値の形成・発展に対して、法は桎梏なのか、促進条件なのか。そもそも、かかる多元的社会において法が公共的な正統性をもちうるための条件は何なのか。
公共政策の前提となるこのような基本問題について、現代の「公共哲学」および「公共性の哲学」をめぐる論議を展望し、かかる論議の争点を民主主義と法の支配の関係をめぐる法哲学的論議と連動させて検討することにより、理解を深化させ、個別政策課題に通底する原理的問題を把捉する能力の練磨を図る。
授業のキーワード
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授業の方法
授業方法は、導入のための講義と事前に指定した文献の査読を前提にした討議とを併用する。
成績評価方法
レポート等による。
教科書
各回の授業テーマの教材として配布する文献のコピー、および井上達夫編『公共性の法哲学』ナカニシヤ出版、2006年。
参考書
井上達夫『他者への自由――公共性の哲学としてのリベラリズム』創文社、1999年;同『法という企て』東京大学出版会、2003年。