権力移行と国際関係
担当教員
藤原 帰一
単位数・配当学期・曜日・時限・使用言語
2単位 / 夏学期 / 火曜5限 / 日本語
授業の目標・概要
東アジアの国際関係は、どのような概念を用いれば説得力のある説明ができるだろうか。この演習では、権力移行という概念を用いることで地域秩序の現在を考える試みである。
国際政治を不安定なものとする要因の一つとしてこれまでに指摘されてきたものが権力移行(power transition)、すなわち新興国の興隆と大国の衰亡によって引き起こされる力の分布の変化である。この概念は、16世紀以後のヨーロッパにおける覇権交代期、あるいは1980年代以後にはアメリカの覇権後退と日本の台頭についても用いられることがあった。だが、軍事力に関してみれば第二次世界大戦後に顕著な覇権交代があったとは考えにくく、経済力に限定して権力移行を論じることができるのか、当時から疑問が持たれていた。
現在、中国の台頭が注目を集めている。日本と異なり、この台頭は経済ばかりでなく軍事にも及んでおり、権力移行概念を適用することが可能であるようにも見える。果たしてそうなのか。権力移行は理論モデルとして十分に説得的といえるのか。中国の事例に適用することは適切なのか。これがこのゼミの課題である。
授業のキーワード
権力移行, 覇権交代, 中国政治, 地域秩序, 国際政治理論, 国際紛争
授業計画
(1)テキスト講読と討論 (2011年4月-5月)
各回に指定された論文を読み、事前に指定されたテーマについてそれぞれの班が短い報告を行い、討論する。
(2)ゼミ参加者による中間報告 (2011年6月-7月)
このゼミのテーマに関わる主題についてゼミ参加者が選んだテーマについて、短い報告を行い、討論する。
(3)論文提出・報告と討論 (夏合宿・2011年9月を予定)
ゼミ参加者それぞれが自分の選んだ課題について小論文を作成し、その論文を提出するとともに口頭でも報告し、討論する。
授業の方法
演習形式による。
成績評価方法
平常点及びレポートによる。
教科書
指定文献は複写したものを配布する。参考資料のリストは教室で配布する。
履修上の注意
ゼミへの参加を希望するものは、上記の課題に即して、どのようなテーマ、疑問を取り上げて自分が研究したいと思うか、1100字以内の文章にまとめ、電子メールに添付のうえ、4月11日(月曜)正午までにkkfujiw@j.u-tokyo.ac.jpまで送付すること。