カールシュミット『政治的なるものの概念』を読む(II)

担当教員

石川 健治

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

本演習は、ワイマール期ドイツの法学者カール・シュミットの古典的著作『政治的なるものの概念』を、ゆっくりと時間をかけて読むことを目標とするものである。憲法学を深く理解するためには、逸することの出来ない著書であり、講義ではなかなか味わえない、理論憲法学の深さ・面白さにふれる絶好の機会になろう。

授業のキーワード

法学,政治思想,20世紀ドイツ,カール・シュミット,憲法総論

授業計画

シュミット解読の見地からは、広く流布している1932年版のテクストを無批判に受容するのは適切ではない。また、戦後の(一面ではきわめて有益な)自己註釈に基づく、原典とは異なるオーケストレーションに拠って、遡及的に解釈するのは、一層危険である。
そこで、1927年の第1稿を底本としたうえで、これにその後いかなる改訂が加えられたかを、併せて研究してきた。漸くにして、最も流布している1932年版を読み直す作業を終え、前学期からは、1933年の「ナチス版」と呼ばれる悪名高いFassung に取り組んでいる。新規に参加を希望される方を、ゼミナリステン一同、心より歓迎したい。
内容的には、途中から入っても充分フォローできる箇所を、取り上げる予定である。また、本をとにかくゆっくりと読むのが目標であるので、ドイツ語にまだそれほど自信がない方でも、参加していただけるはずである。
もっとも、1933年版については、ナチス期の当初に流布した型の「ヒゲ文字」によって書かれている点が、初学者には難関になっている。しかし、初めての方にも充分に配慮して読み進めるので、おそれる必要は全くない。むしろ、ドイツ文化に親しむには必要不可欠な、「ヒゲ文字」入門の意味でも参加されることを期待したい。
なお、日時は月曜日隔週5・6限ということになっているが、参加してくださる方々との相談で変更する可能性もある。

授業の方法

演習形式による。

成績評価方法

平常点及びレポートによる。

教科書

Carl Schmitt, Der Begriff des Politischen, Hamburg: Hanseatische Verlagsanstalt, 1933.

関連項目

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