地域政治B(現代朝鮮半島の政治)

担当教員

木宮 正史

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

本講義では、韓国および北朝鮮を主たる対象として、その政治経済の発展力学について考察する。第2次大戦後、朝鮮半島は日本の植民地から「解放」されたが、冷戦の制約によって南北に分断され、朝鮮戦争を経て、グローバルな冷戦が終焉したにもかかわらず、現在でも南北分断が続く。一方で、南北関係は、当初の北朝鮮優位から、政治、経済、外交などほぼあらゆる面における体制実績において北朝鮮に対する韓国の優位は決定的になった。にもかかわらず、朝鮮半島は、少なくとも現状においては、韓国優位の統一という帰結をもたらさず、むしろ、北朝鮮の体制生存戦略としての核開発に起因した緊張が高まる。
 以上のような朝鮮半島冷戦体制の変化を促進した要因のうち、最も重要なものは、韓国の持続的経済発展と政治的民主化による南北朝鮮の体制における逆転現象である。韓国は、1960年代以降、輸出志向型工業化戦略を採用し、さらに、日韓国交正常化やベトナム派兵など、冷戦の制約をむしろ機会として利用することにより、経済発展を達成した。加えて、1980年代後半、従来の権威主義体制から民主主義へ、その政治体制を移行し、市民運動の活発な展開などによって民主主義を堅固化させている。こうした南北関係の変容を帰結させた韓国政治経済のダイナミズムを、特に、同時代における北朝鮮の対応と比較することで明らかにする。

授業のキーワード

朝鮮半島,韓国,北朝鮮,冷戦,経済発展,民主化

授業計画

第1回 ガイダンス:南北朝鮮の憲法を読む
第2回 南北分断体制の成立
第3回 朝鮮戦争をめぐって
第4回 朝鮮戦争後の韓国・北朝鮮
第5回 516軍事クーデターと朴正熙、1960年代の北朝鮮
第6回 維新体制の成立とその展開、1970年代の北朝鮮
第7回 日韓国交正常化と日朝関係への含意
第8回 ベトナム戦争と韓国・北朝鮮
第9回 朝鮮半島冷戦の変容:米中接近と朝鮮半島
第10回 権威主義体制から民主主義体制へ
第11回 民主化後の韓国政治
第12回 北朝鮮現代史の展開
第13回 ポスト冷戦と朝鮮半島(1):第1次核危機と南北首脳会談
第14回 ポスト冷戦と朝鮮半島(2):第2次核危機と6者協議
第15回 総括

授業の方法

講義(講義を基本とするが、受講者には授業中に授業の理解を助けるための質問を出して、それに対する答を参照しながら授業を進める。また、時代ごとの映像などを見てもらうことで、朝鮮半島の現代史に関する理解を高める。)

成績評価方法

学期末試験を行うが、それだけではなく、授業中に行うレポートの提出なども合わせて成績を評価する。

教科書

教科書は追って指示する(できるだけ授業期間に間に合うように作成中)。

参考書

主要文献は授業中に指示する。

関連項目

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