エネルギー・環境技術の観点から見た産業技術論

担当教員

諸葛 宗男

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

世界的なエネルギー需要が増大し、エネルギー・ナショナリズムが高まる中でわが国のエネルギー安定確保と、持続的成長を支えるための地球規模での環境対策は、公共政策上の重要課題である。
この講義ではエネルギー問題に関する5つの誤解と5つの視点について学ぶ。
まず、5つの誤解とは、(1)エネルギーと環境問題は人口が急増した近世になって生じたという誤解、(2)化石燃料の利用拡大は二酸化炭素の排出量が増大するという誤解、(3)再生可能エネルギーで100%のエネルギーを供給可能だという誤解、(4)究極に安全な原子力発電は不可能だという誤解、(5)経済的にペイする資源が確保できればエネルギーの持続性は確保できるという誤解、の5つの誤解である。答えは授業で説明する。
次にエネルギー問題に関する重要な5つの視点とは以下のとおりである。(1)我が国のエネルギー確保にとって外交問題が極めて重要という視点。(2)次に重要なことは言うまでもなく持続性確保のための環境対策の視点である。(3)忘れてはならないのが安全対策の視点である。言うまでもなく東日本大震災による津波で起きた東電福島第一原発事故の教訓を今後の原子力発電にどう反映するかという視点である。(4)そして何よりも身近な経済性の視点である。既に電力料金の値上げ問題が取りざたされているが避けて通れない視点である。(5)そして最終的にはどのようにベストミックスを確立するかという視点である。
本講義では、5つの誤解を解きつつ、エネルギーと環境問題を考える上で重要な5つの視点についての基本的な考え方について産業技術論の面から論ずる。

授業のキーワード

エネルギー技術,環境,持続性,安全性,経済性,公共政策,研究開発,エネルギー外交,産業技術経営

授業計画

主な内容は以下の通りである。
1.エネルギー技術の変遷と世界のエネルギー資源・エネルギー資源の変遷・石油ピーク論
2.エネルギーの環境問題
3.エネルギーの国際問題
4.原子力技術と安全確保策(究極安全の原子力技術とは)
5.エネルギーの経済性
6.ベストミックスのあり方

授業の方法

講義では担当教員の経験した企業の現場での経験談を交えながら、産業技術の全体像を把握することを目指す。重要課題についてはその分野の専門家を招いて直接話を聞く機会を設ける。

成績評価方法

成績評定は出席率とレポートにより行う 

教科書

田中紀夫『エネルギー環境史』ERC出版、
小宮山宏『地球持続の技術』岩波新書、
マイケル・ハリー著・伊藤沢訳『シックスシグマ・ブレイクスルー戦略』ダイヤモンド社
天野治『石油ピーク後のエネルギー』愛智出版、

参考書

1)経済産業省 エネルギー施策情報  http://www.enecho.meti.go.jp/policy/index.htm
 2)経済産業省「長期エネルギー需給見通し」http://www.enecho.meti.go.jp/topics/080523.htm
 3)経済産業省「エネルギー基本計画」 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/kihonkeikaku/index.htm
 4)飯田哲也「環境エネルギー政策の行方と期待」
 5)McKinsey & Company 「Climate Change;Everyone's Business」CBI,2008
 6)IEA「World Energy Outlook 2011」OECD,2011.6
7)MIT「The Future of Natural Gas」2011.7
 8)ケンブリッジ・エネルギー研究所「EUに対する政策提言レポート」2011.8

関連項目

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