規制政策

担当教員

松村 敏弘

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

政府による民間活動の規制に関して、規制の意義、規制手法、政策形成における政治的プロセス、規制政策の効 果に関する経済学的分析等を学び、規制分野の政策分析を行う能力を養う。経済的規制と社会的規制の双方を取り扱う。講義は2つの部分からなる。第1部で は、基礎となる経済理論を概観し、この分析道具を駆使して、規制政策の背後にある基本的な原理を経済学的に明らかにする。ここで扱うトピックは、混雑料 金、ピークロード料金、ラムゼイ料金、規制の政治経済学、公正報酬率規制、プライス・キャップ規制とインセンティブ規制、情報の非対称性のもとにおける規 制政策である。第2部では、エネルギー、通信、運輸産業などの具体的な規制産業を取り挙げて、なぜそもそも規制が必要か、規制がどのような経済効果を持つ か、現行の規制の問題点は何か、望ましい規制の体系はどのようなものであるか等を解説する。また部門横断的な環境政策についても取りあげる。

授業のキーワード

不完全競争,寡占市場,スイッチング費用,接続規制,自然独占,垂直的取引関係,過剰参入定理,スマートコミュニティ

授業計画

第 1回 Introduction:ミクロ経済学の概観とこの講義の位置づけ
第 2回 費用便益分析・規制影響評価と行動経済学
第 3回 寡占モデルの基礎と規制
第 4回 市場の競争度と経済厚生
第 5回 規制の基礎理論
第 6回 自然独占
第 7回 ネットワーク外部性とスイッチングコスト 
第 8回 垂直統合、不可欠設備と接続規制
第 9回 電力市場における規制と再生エネルギー普及政策
第10回 都市ガス市場における規制と競争創造政策
第11回 モノのインターネット化と情報通信産業における規制
第12回 運輸・交通産業における規制とスマートコミュニティ
第13回 安全規制と環境・エネルギー政策
第14回 公企業と民営化政策

授業の方法

毎回一つのテーマを取り上げ、代表的なモデルやその背後にある基本的なメカニズムを直感的に理解できるよう解説します。受講生は講義中に積極的に発言することが求められ、発言のない場合には教員の方から指名することがあるので、その点了解の上参加して下さい。
ミクロ経済学が現実の政策に如何に応用できるのかを実感できるような講義を目指します。講義中に理解を深め確認するための問題を用意し、回答を求めます。平常点は講義中の発言とこの回答をもとに評価します。

成績評価方法

平常点、筆記試験

教科書

Economics of Regulation and Antitrust, 4th Edition, W. Kip Viscusi, Joseph E. Harrington , and John M. Vernon, 2005

参考書

鶴田俊正・糸田省吾・日下部聡編『産業再生と企業結合:課題-政策-ルール』NTT出版(2004)
奥野正寛・鈴村興太郎・南部鶴彦編 『日本の電気通信-競争と規制の経済学』日本経済新聞社(1993)
依田高典 『ネットワーク・エコノミクス』日本評論社(2001)
橘川武郎『日本電力業発展のダイナミズム』名古屋大学出版会(2004)
八田達夫・田中誠編『電力自由化の経済学』東洋経済新報社(2004)
奥野正寛,篠原総一,金本良嗣編『交通政策の経済学』,日本経済新聞社,(1989).

履修上の注意

ミクロ経済学の知識が前提となる。

その他

初回の講義で講義の進め方、成績評価の方法など詳しく説明するので出席してください。受講を希望するが初回講義に出席できない場合には必ず第2回講義の前に
担当教員にメールで連絡してください。

関連項目

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