ヨーロッパ法

担当教員

伊藤 洋一

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際組織として,今や国際経済のみならず国際政治においても大きな意義を持つ存在となった.
また,ヨーロッパ統合の進展とともに,ヨーロッパ共同体法の重要性は,近年増加の一途をたどっており,特に,EC/EU法の基礎的知識は,EU加盟国の国内法理解に際しても今や不可欠となっている.
EC/EU法は,従来の古典的国際法とどのように異なるのか,加盟国の国内法との間にどのような影響関係があるのか,「民主的」な国際組織の設計はどのようなものであるべきかといった問題は,学問的にも重要な理論的問題を提起している.
ヨーロッパ法の展開は早い.従来のEC/EU条約に代わる新たなEU憲法条約の批准が挫折した後,2009年12月1日にリスボン条約が漸く発効し,今後暫く条約改正の可能性は無いだろうと考えられていた.ところが,近時のユーロ危機によるギリシャのユーロ圏離脱(Grexit)の懸念に続き,更に昨年(2012年)からはイギリスのEU脱退(Brexit)が現実味を帯びてきており,古典的な主権国家の枠を超える「民主的」な国際組織の設計問題は,ますます重要度を高めている.本講では,以上のような近時の動向をも念頭に置きつつ,現行法であるリスボン条約を中心に講義を行う予定である.
EU法の対象分野は,共同体管轄事項が拡張されてきた結果,今や多岐にわたっているが,EU組織法の理解は,個別のEU実体法理解のため不可欠の前提となる.本講では,EU法の総論部分にあたる組織法,具体的には,EUの機構,法源,争訟制度等について順次講じる予定である.

授業のキーワード

ヨーロッパ法,EU法,ヨーロッパ連合,EC法,ヨーロッパ統合

授業計画

第1回 イントロダクション: ヨーロッパ法研究の意義と方法
第2回 ヨーロッパ統合の歴史
第3回 ECとEU,共同市場と法
第4回 EUの機関
第5回 EUと加盟国の権限配分
第6回 EUにおける決定過程
第7回 EUの法源(1)
第8回 EUの法源(2)
第9回 EU法の直接適用性(1)
第10回 EU法の直接適用性(2)
第11回 EU法の優越(1)
第12回 EU法の優越(2)
第13回 EU争訟法の概要
第14回 定期試験

授業の方法

講義

成績評価方法

筆記試験(授業最終回)による

教科書

教科書無し.条約集(英文)等については開講後に随時指示.

関連項目

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