ヨーロッパ統合と法4

担当教員

網谷 龍介 / 伊藤 洋一

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

ヨーロッパ諸国法の「ヨーロッパ法化」現象がとみに指摘されるようになってきている.その原因としてEU法の影響が最も重要であることは言うまでもないが,ヨーロッパ人権条約の影響をも無視することはできない.また,ヨーロッパ人権条約は,組織的には全く別個の存在であるにもかかわらず,EUにとっても重要な意義を持っており,両者の関係は,EU自体のヨーロッパ人権条約加盟が既に政治日程に上ってきていることにも示されるように,近年極めて複雑な様相を呈している.したがって,ヨーロッパ人権法の研究は,狭義のヨーロッパ法(EU法)研究にとっても,今や極めて重要な研究課題となっている.
今年度は,ヨーロッパ人権条約の国内法への影響の高まりを背景として,その沿革,人権裁判所と国内機関,EU裁判所との関係等を,法解釈学の枠を超え,社会・政治の視点からも検討しようとした文献を講読する.このような研究は,ヨーロッパ人権法に関する「法と政治学」の事例研究として,法学研究者にとっても興味深いのみならず,ヨーロッパにおける国内法の枠を超えた法形成・運用の実際を見る際の視野を広げ,ヨーロッパ法の理解を深める点でも有益と思われるからである.

授業のキーワード

ヨーロッパ人権条約,ヨーロッパ人権裁判所,ヨーロッパ人権法,ヨーロッパ法,EU法,国際人権法

授業計画

第1回 イントロダクション:授業の趣旨説明,ヨーロッパ法研究に関する調査方法・文献案内,報告者の分担決定を行う.
第2回 参加者による報告開始.
なお,第3回以降については,本授業の性質上,現時点では各回毎の内容記述をすることはできない.参加者の報告による演習形式をとる以上,参加者の人数,語学力等に応じ,担当部分の割り振りを考慮する必要があるのみならず,文献を正確に読み,内容を批判的に検討・報告すること自体が,授業の目的だからである.

授業の方法

下記文献所収の論文を,参加者(参加者の人数によっては,グループ)が分担報告し,議論する形式で進める予定である.

成績評価方法

授業における報告およびレポートによる.

教科書

Christoffersen, Jonas & Mikael Rask Madsen (eds.), The European Court of Human Rights between Law and Politics, Oxford, Oxford UP, 2011, xvii, 236 p.

履修上の注意

使用する教材は英語文献ではあるが,その性質上,国内法に関する基本的な知識が必要かつ有益である.また,教材の性質上,EU法・ヨーロッパ人権法に関する基本的知識が不可欠であるので,予めヨーロッパ法を聴講しておくか,信頼できる概説書を読んでおくことが望ましい.

[受講希望者に対する注意事項]
初回に配付する教材準備の必要があるので,受講希望者は,2013年9月6日(金)までに,以下の要領で電子メールにより,参加を希望する旨連絡すること.また,初回開講時に報告者の決定を行う必要があり,事前の受講希望連絡の無い希望者については,参加を認めがたいので,この点注意すること.
(1) 伊藤宛(yito@j.u-tokyo.ac.jp)に電子メールで連絡すること
(2)メール標題は「2013年冬学期・ヨーロッパ統合と法参加希望(参加希望者の氏名・所属)」とすること.
(3) メール本文には,連絡先電話番号をも記載すること.

関連項目

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