医療イノベーション政策

担当教員

林 良造 / 大西 昭郎 / 鈴木 寛 / 岸本 充生

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

一国の医療の水準は、医療に対する金銭的対価の支出の全体の水準と個別の価格設定、提供される医療の安全・安心や一定の質を確保するための国家の関与、 医療事故に対する責任の構造、効率的で公平な国民のアクセスを提供するための人的・物的インフラの整備のルールなどに対して、医師、看護師、患者、病院、 薬局、製薬企業、医療機器メーカーなど様々な主体が反応していく行動の総体として決定される。

そして、これらの主体の行動や制度の有効性は、少子高齢化の進展、グローバリゼーションの展開、経済成長の動向、医療技術の進歩などにより変化している。

本講義は、医療水準を決定する様々な制度について、当事者間の合意と市場の働きに委ねるのではなく国家の関与が必要とされる理由にさかのぼって考え理解するとともに、 特に近年医療政策としても経済成長のための政策としてもより重要性を増している「医療イノベーション」の視点からこれらの諸制度の評価を行う。

医療をめぐる近年の急速な技術進歩やグローバル化の進展を理解するとともに、基礎的科学から患者への提供にいたる医療産業のイノベーションの過程を取り上げ、 国際的な比較を交えて、日本のイノベーション環境の評価を行う。 また、「医療イノベーション」を経済成長のための政策としてみる場合の留意点について理解する。 それらに合わせて、先端医療技術の活用における個人情報保護の問題も取り扱う。 具体的な事例としては、医薬・再生医療・医療機器の研究、開発、導入等を扱う予定である。

また、医療イノベーションを政策的に進めていくうえで不可欠な論点として、リスクや不確実性を伴う意思決定、医療事故をめぐる法的責任ルール、 リスクとベネフィットの比較や、医療の優先順位付けのための考え方やツールをも学ぶ。

授業のキーワード

医療イノベーション,成長戦略,医療とIT,薬事規制,診療報酬制度,国際比較

授業計画

① 10月3日 オリエンテーション
② 10月10日 主要な制度の概観:制度紹介とトレードオフ
③ 10月17日 医療における技術革新
④ 10月24日 リスク意思決定をめぐる諸課題
⑤ 10月31日 技術革新と薬事規制
⑥ 11月7日 医療財政・薬価制度
⑦ 11月14日 医療における法的責任
⑧ 11月21日 医療技術評価
⑨ 11月28日 医療イノベーションへの取り組み
⑩ 12月5日 日本の医療提供体制と国際比較
⑪ 12月12日 医療政策をめぐる日本の政治過程
⑫ 12月19日 先端医療技術のベネフィットとリスクへの対応問題
⑬ 1月8日 医療とIT
⑭ 1月15日 行動経済学の視点の導入

授業の方法

講義方式

成績評価方法

レポート提出、授業への参加状況

教科書

なし

参考書

必要に応じ授業において指示

関連項目

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