LKY-GraSPP Day 2014 / LKY Japan Trip 2014

Event Report

山崎 悠司

私にとってジャパントリップに参加するのは今回が二度目となります。

LKYジャパントリップは、シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院の学生に日本の政策や社会の現状を知ってもらうという趣旨のもと、4年前に始まりました。前回のジャパントリップでは、私は入学を間近に控えた学部4年生として参加し、今回はGraSPPのスタッフをまとめる立場として関わらせていただきました。ジャパントリップ全体における日本人学生の本来の役割は、スタッフとしてトリップを円滑に運営することです。しかしその一方で、自分が母国である日本についてもまだまだ知らないことがたくさんあることに驚かされ、また外国の目線から見た日本の長所短所を再発見することができ、普段の大学院での学習とはまた違った学びを得ることができます。

今回のトリップの前半では、「被災地復興の現在」をテーマに、3日間かけて宮城県女川町、福島県南相馬市を訪れました。3年の月日が過ぎ去った現在、3.11の地震によって被害を受けた地域における復興の現状は、たとえ日本人であっても、東京で暮らす本大学院の学生には依然理解できていないことが多いように思います。各自治体では、行政の首長、地域住民など幅広い方々の話を聞くことができ、同じ被災地といっても原発事故や各自治体財政状況、また産業基盤等の様々な条件の違いによって復興の進み具合が影響を受けることを知り、また状況は違っても現地の方々みなさんが等しく持っておられる復興に向けての力強い決意をひしひしと感じました。

そして後半では東京に移動し、政治家、行政官、ジャーナリストなどの多様な方々にお会いする中で、日本の経済政策や災害に対するリスクマネジメント、国際関係について、過去の問題点を見つめ直し、未来に向けての方策を考える時間となりました。確かに今の日本は数多くの問題を抱えています。しかし、東京都ではオリンピックが計画され、医療や教育の問題をビジネスで解決しようとする社会起業家も数多く生まれてきています。また、リスクマネジメントに関しても、3.11の反省をふまえて着実に改善が始まっています。そのように未来に向けて取り組んでおられる方々の話をうかがって、今後日本をよりよい方向へと変革するための民間の活力とそれを支える公共政策の大切さについて考えさせられました。

マスメディアでは、毎日のように日本の転換・変革の必要性が叫ばれています。しかし、日本の社会しかしらない(私を含む)多くの日本人にとって、日本を今後どうすべきかを考えるのは至難でしょう。このLKYとのジャパントリップでは、多国籍の学生との交流を通じて多様な視点から日本を見つめ直し、また日本で起きていることを自分の目で直接見て理解することができます。このような経験は、今後日本の公共政策を担うことになると期待されるGraSPPの学生にとって、大きな意義のある経験だと思います。

GraSPPの学生が、今後もジャパントリップを盛り上げ、GraSPPを代表する年中行事に育ててくれることを願います。

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