留学生だより

高田真理江 (to Hertie)

2011年9月から12月まで約4カ月間、ドイツ・ベルリンにあるHertie School of Governanceに交換留学をさせていただきました。

Hertie School of Governanceは、2003年に創設されたばかりのドイツでは珍しい私立の公共政策大学院です。学校は、ベルリンの中心街ミッテ地区を南北に貫く目抜き通りに面したビルの一角にあり、かの有名なブランデンブルク門や冷戦時のアメリカ軍の検問所跡チェックポイントチャーリー、ベルリン大聖堂、博物館島などベルリンを代表する観光スポットが徒歩圏内にあります。

Hertie School の魅力

Hertie SchoolのMaster of Public Policyは、理論の修得と実践がバランス良く組み合わされた二年間のマスタープログラムです。一年目には経済学を中心とする必須科目で基礎力を身につけ、夏休みにはインターンシップで実践経験を積みます。二年目にそれぞれ関心のある選択科目を履修し、応用力を養います。そして二年間の集大成である修士論文を完成させた後、晴れて卒業となります。私を含め交換留学生は、二年生が履修する選択科目を一緒に受講することができました。

私がHertie Schoolへの交換留学を志望したのは、ヨーロッパのアカデミックな環境に身を置き、ヨーロッパ特有の視点や考え方を理解したいという思いがあったからです。というのもHertie Schoolはドイツでは公共大学院として先駆的存在で、ドイツ人を中心としたヨーロッパ人の学生で占められていると考えていたからです。しかしながら、そのような私の期待は良い意味で裏切られました。Hertie Schoolに在籍する学生のバックグラウンドは多岐に富んでおり、ドイツをはじめヨーロッパだけではなく、世界中から学生が集まっていました。バックグラウンドが豊富であるのは学生だけではありません。指導教官も出身地はもちろんのこと、世界中を飛び回る学者や数十年のキャリアを持つ実務家など、豊富な経験を有する方々ばかり。そのうえ少人数制の授業を徹底しているため、指導教官と学生との距離感が非常に近いところも印象的でした。素晴らしい指導教官の指導の下、多様なバックグラウンドを持つ学生とともに議論を行うことで、ヨーロッパならではの視点だけではなく多角的な物事の見方を知ることによって視野が広がり、非常に充実した時間を過ごすことができました。また理論を重視するヨーロッパならではのアカデミズムに触れることができたのも、とても価値ある経験となりました。

ベルリンでの生活

冷戦時代は東西陣営対立の余波をまともに受け、歴史に翻弄されたベルリンの街ですが、現在では社会主義時代の遺産はひっそりとなりをひそめ、何処かゆるい雰囲気の漂う素敵な都市として生まれ変わっています。芸術や音楽を身近に感じることができるのはもちろん、個性豊かなカフェが街中いたるところにあり、雰囲気の良い店内ではコーヒー一杯で存分に思い思いの時間を過ごすベルリンの人々の姿がみられます。私自身、休日には美術館を訪れたり、カフェ巡りをしたりとベルリンならではの時間を楽しむことができました。物価が比較的安い点も学生の私にとってはありがたい限りでした。

またドイツにはVolks-Hoch-Shule(フォルクスホッホシューレ)と呼ばれる日本でいうカルチャーセンターのような市民大学があり、語学からスポーツまでありとあらゆる講座が低価格で提供されています。誰にでも門戸が開かれているため、留学生の私も英語の講座を受講するなどして大いに活用させていただきました。

そしてドイツ国内やヨーロッパ近郊への交通アクセスが良いのもベルリンの魅力の一つです。休暇の折にはドイツ国内の諸都市やヨーロッパ各国を訪れ、ドイツをはじめとするヨーロッパの魅力を堪能することができたのも非常に有意義な体験でした。

留学を終えて

一学期間という短い間とはいえ、Hertie Schoolへの交換留学は、自分自身の可能性を広げ、将来への指針を考えるうえで大変為になりました。この場を借りて、留学を支援してくださった先生方、公共政策大学院係の方々に心より御礼申し上げます。

留学生だより

2011年3月掲載