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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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Administrative Intelligenceを持って、行政を考える

青木尚美教授 (from Japan) 准教授

私は行政とパブリックマネジメントを専門としています。国家の発展には、その基盤となるべき優れた行政が不可欠であるという信念を持ち、優れた行政の実現を考えるきっかけとなる研究創出に向け取り組んでいます。自身の活動を通じ、様々な国の行政の在り方を理解し、その上で自国の行政を客観視し、よりよい行政の在り方を追求する力を育むお手伝いができたらと考えています。このような力をAdministrative Intelligenceと言い換えることもできるでしょう。授業を通して視野を広げ、皆さんが将来自国の発展に取り組めることを願っています。

私は行政とパブリックマネジメントを専門とし、優れた行政の実現を考えるきっかけとなる研究を創出したいと考えています。特に比較行政学、公共経営学、公共ガバナンスを、また最近ではAIを使用した公共サービスにおける社会の信頼に関する実証研究を行っています。

 振り返れば、大学時代に国際開発を専攻し、そこで国々の発展の在り方に強い関心を持ちました。また、修士課程を経て世界銀行に所属した際、その発展には優れた行政が不可欠であるということを強く意識しました。支援対象国の公的資金がフロントラインにどのように流れていくかを追跡するプロジェクトに携わり、行政の機能が弱いために、資金が供給すべき対象に届いていない現実を垣間見たからです。いかに国家レベルで素晴らしい政策があっても、行政機関の能力が不十分ならば発展には繋がらないことを実感しました。それからは、国家の発展には、その基盤となるべき優れた行政が不可欠であるという信念を持っています。

私は自身の活動を通じ、様々な国の行政の在り方を理解し、その上で自国の行政を客観視し、よりよい行政の在り方を追求する力を育むお手伝いができたらと考えています。一般にEmotional IntelligenceCultural Intelligenceといった考え方がありますが、このような力をAdministrative Intelligenceと言い換えることもできるでしょう。また、行政を理解しようとするには、まず、その国や人の考え方や感じ方を理解することが重要です。

 授業では国際的な行政事例を紹介するとともに、様々なトピックを題材として、各国それぞれにとって最善の行政とは何か、実現するにはどうしたらよいか、様々な国籍の学生が多角的な視点から考える場にしています。しばしばトレードオフが発生する行政において、理想の解はひとつではありません。また、行政とは外部からではなく、当事者であるその国の人が考えるべき事柄です。国籍、職業など多種多様な学生が、将来自国の発展についてより広い視野で取り組めることを願っています。

GraSPPのカリキュラムは、現在の複雑化する公共政策の課題を考えるにあたり、効果的な構造になっています。経済、行政、政治学、国際関係学など異分野が融合しているのはもちろんのこと、文系科目だけでなく、政策にも深くかかわりつつある科学技術分野も織り込まれている点は革新的であると感じます。

 実務の現場では、それぞれの国や組織のミッションに向けて、時には対立構造の中で物事を考える場面もあるでしょう。また、専門性を高めることで、いつしか考えの偏りが生じることもあるでしょう。しかしこのアカデミアでは、皆さんが中立的な視点を持ち、平和で建設的な心持ちで議論を交わし、高めあうことができます。この貴重な場所で一緒に成長できることを楽しみにしています。