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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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第25回学生インタビュー(ニュースレター49号掲載)

松川広司 (from Japan)

―自衛隊からGraSPPにいらしたと伺いました。
 海上自衛隊に所属しています。これまでは主に航空部隊で勤務してきました。もともと、パイロット志望で、就職活動の際に自衛隊パイロットという選択肢を知り、この道を選びました。
 入隊後、江田島(広島)の海上自衛隊幹部候補生学校で学びました。同期は一般大学卒と防衛大学校卒がそれぞれ約100名という構成でした。卒業後、約半年間の遠洋練習航海に出ました。ハワイ、アメリカ西海岸サンディエゴ、メキシコ、エルサルバドル、ペルー、チリ、タヒチ、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシア、韓国をめぐりました。最終寄港地の韓国には、遠洋練習航海として初めて入港し、交流が叶いました。エルサルバドルはとくに印象に残っています。治安がよくないので、研修場所に向かうときに、警察と軍隊が前後について、ものものしく護送されました。長男は私がアメリカ西海岸の洋上にいるときに産まれました。東京の晴海に無事到着し、感動の初対面のはずが大号泣されたことを覚えています(笑)。
 私は当初、パイロットを目指していましたが、最終的にはP-3C哨戒機の戦術航空士(Tactical Coordinator: TACO)となりました。小月基地(山口)と下総基地(千葉)で航空士としての訓練を受けた後、那覇基地(沖縄)、厚木基地(神奈川)で勤務しました。
また、2013年に4カ月間、ジブチ共和国でソマリア沖・アデン湾の海賊対処に従事しました。ジブチには自衛隊初の海外活動拠点があり、各国の視察やVIPを受け入れることも多く、私はその対応を担っていました。地元の人向けに柔道教室を開いたり、文化交流の一環で沖縄のエイサーを踊ったり、他国軍の基地と交流したり、面白い毎日でした。ジブチはイスラム教国とはいえ世俗的で、旧宗主国がフランスであるため、ワインも食事もおいしかったです。日本にいるときと比べて地上での業務量も少なく任務飛行に専念できましたし、運動やトレーニングも十分にできて、非常に充実していました。


―久しぶりの学生生活はいかがですか?
自衛隊からGraSPPに入学したのは私が初めてです。せっかく機会を頂いたので、単位取得以外の科目もできる限り聴講しています。地域政治研究の科目は、履修と聴講を含めて全て取ろうという目標を立てています。実は自分で「自己紹介した科目
は、どんなにきつくても逃げない」というルールを課しています。私のようなバックグラウンドだと、良くも悪くも印象に残り、次の授業にいないと「あの自衛官、逃げたな」と思われますし(笑)。大学院生活の総仕上げとして、研究論文も書いています。藤原帰一先生に指導教官をお願いし、ウクライナ危機前後のNATOの変化をテーマに執筆を進めています。
週末は子どもと過ごすように努めています。父親が家でも勉強している背中を見ているからか、子どもたちも、図らずも勉強するのは当たり前と思ってくれているようです。いまは漢字検定の家族合格表彰状を目指し、みんなで合格を目指しています。また、最近はキッズ・トライアスロンの出場に向けて練習に励んでいます。文武両面において困難に負けずにチャレンジできるような、強い人間に育って欲しいと思います。