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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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第22回学生インタビュー(ニュースレター44号掲載)

中村星紗 (from Japan)

― 人事院から派遣されているということですが、背景を伺えますか。

人事院の国内研究員制度で派遣という形をとっています。これは各省から希望者を募って国内の大学院で研究に従事させる制度です。私は総務省で働いており、情報通信分野の仕事の担当でした。国家公務員II 種で入省したのですが、職場では採用区分は関係なく企画の仕事もしました。そのうち、政策を立案するときに関連する法律の知識や従来の政策等の効果を分析するための経済的な知識がほしい、大学院で勉強したいという気持ちが高まりました。この人事院の制度では国公立であれば希望の大学院を受験できます。毎年、各省から十数名私の代は全省庁から14 名派遣されています。
実は、GraSPPの草創期に派遣されていた職場の先輩に相談したら、私が勉強したい内容からすると、法律、経済、政治、問わず柔軟にカリキュラムが組めるGraSPP がぴったりだ、と勧められました。

― 1年目が終わっていかがですか。

GraSPP では、取得できる単位数の上限が38 単位と決まっているのですが、取りたい授業がたくさんあって、聴講生としてもGraSPP や他学部の授業に参加しました。松村敏弘先生の「規制政策」、「法と経済学」は自分が関わってきた業務に直接関係する内容で、なおかつ今まで意識したことがない部分に目が向きました。奥村裕一先生の事例研究3部作「デジタル時代の行政と社会」も面白かったです。ICT による市民参加型社会への移行、国のデータを公開して政府の透明性を高める、電子政府やマイナンバーなどを通じて行政を効率よく動かすなど、幅広いテーマが取り上げられましたが、今後の行政の在り方と国民の関わり方は変わっていくだろう、という共通の認識が土台になっていました。私の職場では電子決裁がほぼ100%、印鑑は使っていません。また、外山秀行先生の「法制執務の基礎と応用─法治国家の政策対応」は、職場にいてもなかなか学ぶ機会のない法改正に必須の実務的な知識を、きちんと体系立てて学ぶことができて、ためになりました。

久しぶりの大学生活で、周りとの年の差を感じなくもありませんが、省庁希望の仲間が多いので、省庁で働いている人間として生の経験を伝えたりと多少は役に立っているのでは、と思います。

今は、当初の興味から派生して”Nudge” というアイディアに興味があり、GCL(ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラム)のNudge ユニットに参加させていただいています。”Nudge” というのは、人間の持つ行動特性をうまく利用し、選択の自由を残したまま人々の行動を良い方向へ変容させるアプローチです。これまでのように上から指示して人々を正しい行動に導くのではなく、彼らを軽く押したりつついたりして人々を正しい方向へ送り出す戦略です。これが法規制による強制ではない今後の政策形成に役立つのでは、と考えています。大学院に来なかったら、こんな面白いアイディアがあったのを知らずにいたと思います。