公開シンポジウム
「コーポレート・ガバナンスと日本経済」
~会社はこれからどうしていったらよいのか~

日時:2010年9月28日(火) 15:00-18:00
場所:東京大学 医学部教育研究棟14階 鉄門記念講堂
主催:東京大学公共政策大学院

開催趣旨

日本企業の国際競争力が懸念されています。株式市場による評価は依然低く、内外投資家は日本企業のガバナンスに対して一貫して強く懸念しています。最近は国内で雇用を吸収する力が低下してきました。

会社はこれから一体どのようにしていったらよいのでしょうか。アメリカ型か、日本型か、あるいは第3の道を模索すべきなのでしょうか。

今後の日本経済を考える中で、どのようなコーポレート・ガバナンスを目指していったらよいのか、各界の英知を集めて議論します。

プログラム

15:00開会挨拶金本良嗣 東京大学経済学研究科教授
15:10基調講演岩井克人 国際基督教大学客員教授、東京大学名誉教授
16:10休憩
16:20パネル・ディスカッション
神田秀樹 東京大学法学政治学研究科教授
柳川範之 東京大学経済学研究科准教授
阿部泰久 日本経団連 経済基盤本部長
大森泰人 金融庁 証券取引等監視委員会事務局次長
岩井克人 国際基督教大学客員教授、東京大学名誉教授
石田晋也 東京大学公共政策大学院客員教授 (モデレーター)
17:55閉会挨拶田辺国昭 東京大学公共政策大学院長
18:15懇談会医学部教育研究棟13階 レストラン カポペリカーノ(有料)

開催報告

9月28日(火)、鉄門記念講堂で標記シンポジウムが開催されました。みずほ証券株式会社の支援を得て2007年度から開講している寄附講座「資本市場と公共政策」の活動の一環として行われたものです。

田辺院長の開会挨拶に続いて行われた岩井克人先生(国際基督教大学客員教授、東京大学名誉教授)の基調講演では、「会社」という存在の理論的構造、ポスト産業資本主義時代における組織特殊的人的資本の重要性などが指摘されました。

その後、本学の神田秀樹教授、柳川範之准教授、阿部泰久・日本経団連経済基盤本部長、大森泰人・金融庁証券取引等監視委員会事務局次長をパネリストに迎え、パネル・ディスカッションが行われました。競争力向上につながるガバナンスのあり方などを巡って活発な議論が交わされました。

シンポジウム後の懇親会では、来賓の横尾敬介・みずほ証券株式会社取締役社長に御挨拶を頂きました。

我が国のコーポレ―ト・ガバナンスを巡っては、内外の投資家から非常に厳しい指摘がなされてきた一方で、経営者側はアメリカ流のルールが一律に強制されるような議論には非常に慎重な見方を示しています。最近は従業員側の主張や、いわゆる公開会社法といった議論など、様々な論争が続けられています。

今回のシンポジウムの目的は、具体的な制度に関する議論の前段階として、そもそも「競争力向上という観点に立った時、どういったコーポレート・ガバナンスの姿が考えられるのか」といった総論的な問題を議論することでした。一つの結論に収斂したわけではありませんが、今後につながる有意義な意見も多く、良い議論ができたと思います。この問題は外国の教科書に正解があるわけではなく、日本自身の課題として、アカデミックや実務の英知を集めて引き続き忍耐強く議論を尽くし、明日を切り開く知恵をひねり出していかなければならない、と改めて感じた次第です。