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講義COURSES

2025年度Sセメスター

医療イノベーション政策
鈴木寛/昌子久仁子/黒河昭雄
S1S2 水曜1限

目標

本授業は、医療イノベーションの諸相について理解を深めるとともに、その課題を分析する力を身につけることを目標とする。

概要

一国の医療の水準、そしてその結果としての健康の水準は、医療に対する支出の全体の水準と個別の価格設定、提供される医療の安全・安心や一定の質を確保するための国家の関与、医療事故に対する責任の構造、効率的で公平な国民のアクセスを提供するための人的・物的インフラの整備のルールなどに対して、医師、患者、病院、保険者、薬局、製薬企業、医療機器メーカーなど様々な主体が反応していく行動の総体として決定される。そして、これらの主体の行動や制度の有効性は、少子高齢化の進展、グローバリゼーションの展開、経済成長の動向、医療技術の進歩などにより変化している。
本講義は、医療水準やその結果としての国民の健康の水準を決定する様々な制度について、当事者間の合意と市場の働きに委ねるのではなく国家の関与が必要とされる理由にさかのぼって考え理解するとともに、特に近年、医療・健康政策と経済成長のための政策の両面から注目されている「医療イノベーション」に視点を当ててこれらの諸制度の評価を行う。
医療をめぐる近年の急速な技術進歩やグローバル化の進展を理解するとともに、基礎的科学から患者への提供にいたるヘルスケア産業のイノベーションの過程を取り上げ、国際的な比較を交えて、日本のイノベーション環境の評価を行う。また、「医療イノベーション」を経済成長のための政策としてみる場合の留意点について理解する。それらに合わせて、先端医療技術の活用におけるリスクや不確実性、個人情報保護、倫理上の課題も取り扱う。具体的な事例としては、医薬品・再生医療・医療機器に関する研究開発や承認プロセス等を扱う予定である。

授業計画

*講義内容は予定であり、変更の可能性がある。
*最終的なシラバスは初回講義時にアナウンスする
*担当およびゲストスピーカーについては変更となる可能性がある

第1回 4月9日
イントロダクション:医療イノベーションをめぐるトピック
第2回 4月16日
事例研究:オプジーボの価格決定過程
第3回 4月23日
医療におけるイノベーションとレギュレーション
第4回 5月7日
科学技術とELSI、行動科学の知見
第5回 5月14日
グループワーク:価格決定過程をめぐるロールプレイング
第6回 5月21日
医療政策をめぐる日本の政治過程
第7回 5月28日
厚生労働行政と医療イノベーション
第8回 6月4日
戦略としてのM&A
第9回 6月11日
グループワーク:規制のラグ
第10回 6月18日
イノベーティブな医療機器開発の実態
第11回 6月25日
新技術の実用化の課題(SaMDの事例から)
第12回 7月2日
研究開発と患者参画
第13回 7月9日
レポートテーマについての発表・総括
授業方法

毎回テーマに即した専門家を講師に迎え、講義を行うオムニバス形式をとる。
学生は、各回のQ&Aセッションへの参加や講義後のリフレクションを目的とした感想・コメントの提出、グループワークへの参加など、能動的な授業への参画が求められる。

成績評価方法
  • レポート 50%
    (最終回7月9日にレポートのテーマについて各自から発表を行い、教員からのフィードバックを受けたうえで最終レポートを作成する)
  • 授業への参加状況 50%
    (出席や発言の状況、各回の感想・コメント、グループワークでの貢献状況等を総合的に評価する)